Johnny Griffin / The Man I Love

コペンハーゲンのジャズクラブMontmartreでのライブアルバム。注目すべきはジョニー・グリフィンの十八番である2曲目のHush-A-Byeなのだが、グリフィンのブロウは控え目。むしろ、ケニー・ドリューのピアノに重点が置かれている感じ。なぜにグリフィンは得意技を披露しなかったのだろう。彼のディスコグラフィーを調べたら、その理由が見えてきた。

所有しているCDは西ドイツ製輸入盤で、Black Lionレーベル。録音は1967年3月30日と明確に記載されている。だが、ディスコグラフィーによると、このライブは30日と31日に行なわれ、本作を含めて3枚に分散されていることが分かった。残り2枚のタイトルはYou Leave Me BreathlessとA Night In Tunisiaで、どちらもCD化されていない模様。つまり、Hush-A-Byeは2日間のライブで最高の山場ではなかったということだろう。このライブのコンプリート盤CDを望むのは無理だろうか。

1. The Man I Love
2. Hush-A-Bye
3. Blues For Harvey
4. The Masquerade Is Over
5. Sophisticated Lady
6. Wee

Johnny Griffin - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
Albert Heath - drums

Recorded on March 30, 1967 at The Montmartre Jazzhuis, Copenhagen, Denmark.

Jackie McLean / One Step Beyond

全体的に不思議な印象を与えるアルバム。その理由は楽器構成。サックス、ドラム、ベースに加えてピアノが入らず、トロンボーンとヴァイブが入っているため。そして、ジャッキー・マクリーンの作品(1、3曲目)とグレイシャン・モンカ―の作品(2、4曲目)が、あまりにも曲想が違うこと。さらには、モンカ―の作品は、Frankenstein(フランケンシュタイン)とGhost Town(ゴースト・タウン)で、意味ありげな曲名になっている。だからと言って、アルバム全体の構成がバラバラではない。かなり計算されていて、だからこそOne Step Beyondというタイトルにしたのだろう。

1963年4月の録音。参加したトニー・ウィリアムスは45年12月生まれなので、17歳5ヶ月でのセッションである。トニーのWikipediaには、「62年11月、16歳のときジャッキー・マクリーンにスカウトされて、ニューヨークに移った。翌63年にはマイルスのいわゆる〈黄金のクインテット〉のメンバーに抜擢され、69年まで在籍した」とある。トニーの詳細なディスコグラフィーが見つからないが、英文Wikipediaを参照したところ、トニーにとってのデビューアルバムのようだ。トニーにとっても、One Step Beyondなのである。

1. Saturday And Sunday
2. Frankenstein
3. Blue Rondo
4. Ghost Town

Jackie McLean - alto saxophone
Grachan Moncur III - trombone
Bobby Hutcherson - vibraphone
Eddie Khan - bass
Tony Williams - drums

Recorded on April 30, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Jim Hall / Concierto De Aranjuez

失敗。このアルバムが「失敗」ではなく、1,080円だから、まぁいいやと迷わずに購入したことが「失敗」。でも、それは価格の問題ではない。ギタリストとして、自分の中で存在感があるジム・ホールが、こんなアルバムを作っていたことを知ってしまったある種の嫌悪感。名盤Conciertoの安易な焼き直し。後戻りとは言わないが、振り返っても仕方がない。ましてや、ジャズの演奏なんて一瞬の出来事。演奏した瞬間、アルバムに残した瞬間、もうそれは過去の物。

商品解説から。「あのCTIの名作Conciertoの続編にあたる1981年日本のキングレコードの企画盤、邦題は〈新アランフェス協奏曲〉。歴史的名演を、新アレンジで再現したジム・ホールとデヴィッド・マシューズによるコラボレーション。〈アランフェス協奏曲〉の他にも、お馴染みの名曲〈赤とんぼ〉や〈コンドルは飛んでいく〉のモダン且つジャジーで濃厚なアレンジが最高」。しかしである。柳の下に二匹目の泥鰌はいない。赤とんぼも、そしてコンドルも飛ばないのだ。

1. Concierto De Aranjuez
2. Summer Waltz
3. Red Dragon Fly
4. El Condor Pasa
5. Ara Cruz
6. Chorale And Dance

Jim Hall - guitar
David Matthews - electric piano
Tom Harrell - trumpet
Joe Sheppley - trumpet
Sam Burtiss - trombone
Tony Price - tuba
Fred Griffen - French horn
David Toffani - flute, alto flute, soprano saxophone, piccolo
Gerry Neiwood - tenor saxophone, flute
Ronnie Cuber - baritone saxophone, bass clarinet
Paul Metsky - electric guitar
Mark Egan - electric bass
Jimmy Madison - drums
David Charles - percussion

Recorded on January 18, 1981 at A&R Studio, NYC.