Jimmy Smith / The Dynamic Duo

ダイナミック・デュオ。いい感じのタイトル。だけど、ジミー・スミスとウェス・モンゴメリーだけでなく、バックのミュージシャンも冴えている。録音には計3日を要していて、一発モノのセッションとは違うアルバム。ジャケットも、いろんな案を出して決めたのだろう。サンドイッチを食べ合っていて、決して品が良いとは思えないのだが、それなりの工夫をしたのだと思う。拍手を贈りたい。

ジャケット表紙には二人の名前しか記載されていないが、大事なのはオリバー・ネルソンの存在。所有する輸入盤CDのジャケット内には、大きくARRANGED AND CONDUCTED BY OLIVER NELSOMと書かれていて、英文ライナーノーツには、Leaping at this opportunity to praise long and loud, Jimmy Smith, Wes Montgomery and "the monster" Oliver Nelsonの一文がある。ネルソンを「モンスター」と称しているのだ。全5曲中の3曲がネルソンによるアレンジと指揮。ネルソンにはサンドイッチを贈りたい。とにかく、これは間違いなく名盤なのだ。

1. Down By The Riverside
2. Night Train
3. James And Wes
4. 13 (Death March)
5. Baby, It's Cold Outside

Jimmy Smith - Hammond organ
Wes Montgomery - guitar
Grady Tate - drums
Ray Barretto - conga (tracks 3,4,5)
Bob Ashton, Danny Bank, Jerry Dodgion, Jerome Richardson, Phil Woods - reeds (tracks 1,2,4)
Clark Terry - trumpet, flugelhorn (tracks 1,2,4)
Ernie Royal, Jimmy Maxwell, Joe Newman - trumpet (tracks 1,2,4)
Jimmy Cleveland, Melba Liston, Quentin Jackson - trombone (tracks 1,2,4)
Tony Studd - bass trombone (tracks 1,2)
Dick Hixson - bass trombone (track 4)
Richard Davis - bass (tracks 1,2,4)
Oliver Nelson - arranger, conductor (tracks 1,2,4)

Recorded on September 21, 23 & 28, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Johnny Griffin / The Man I Love

コペンハーゲンのジャズクラブMontmartreでのライブアルバム。注目すべきはジョニー・グリフィンの十八番である2曲目のHush-A-Byeなのだが、グリフィンのブロウは控え目。むしろ、ケニー・ドリューのピアノに重点が置かれている感じ。なぜにグリフィンは得意技を披露しなかったのだろう。彼のディスコグラフィーを調べたら、その理由が見えてきた。

所有しているCDは西ドイツ製輸入盤で、Black Lionレーベル。録音は1967年3月30日と明確に記載されている。だが、ディスコグラフィーによると、このライブは30日と31日に行なわれ、本作を含めて3枚に分散されていることが分かった。残り2枚のタイトルはYou Leave Me BreathlessとA Night In Tunisiaで、どちらもCD化されていない模様。つまり、Hush-A-Byeは2日間のライブで最高の山場ではなかったということだろう。このライブのコンプリート盤CDを望むのは無理だろうか。

1. The Man I Love
2. Hush-A-Bye
3. Blues For Harvey
4. The Masquerade Is Over
5. Sophisticated Lady
6. Wee

Johnny Griffin - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
Albert Heath - drums

Recorded on March 30, 1967 at The Montmartre Jazzhuis, Copenhagen, Denmark.

Jackie McLean / One Step Beyond

全体的に不思議な印象を与えるアルバム。その理由は楽器構成。サックス、ドラム、ベースに加えてピアノが入らず、トロンボーンとヴァイブが入っているため。そして、ジャッキー・マクリーンの作品(1、3曲目)とグレイシャン・モンカ―の作品(2、4曲目)が、あまりにも曲想が違うこと。さらには、モンカ―の作品は、Frankenstein(フランケンシュタイン)とGhost Town(ゴースト・タウン)で、意味ありげな曲名になっている。だからと言って、アルバム全体の構成がバラバラではない。かなり計算されていて、だからこそOne Step Beyondというタイトルにしたのだろう。

1963年4月の録音。参加したトニー・ウィリアムスは45年12月生まれなので、17歳5ヶ月でのセッションである。トニーのWikipediaには、「62年11月、16歳のときジャッキー・マクリーンにスカウトされて、ニューヨークに移った。翌63年にはマイルスのいわゆる〈黄金のクインテット〉のメンバーに抜擢され、69年まで在籍した」とある。トニーの詳細なディスコグラフィーが見つからないが、英文Wikipediaを参照したところ、トニーにとってのデビューアルバムのようだ。トニーにとっても、One Step Beyondなのである。

1. Saturday And Sunday
2. Frankenstein
3. Blue Rondo
4. Ghost Town

Jackie McLean - alto saxophone
Grachan Moncur III - trombone
Bobby Hutcherson - vibraphone
Eddie Khan - bass
Tony Williams - drums

Recorded on April 30, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.