John Coltrane / A Love Supreme: Live In Seattle

2021年10月にリリースされたアルバム。以下は、商品紹介からの抜粋。「当時は録音されたこと自体が公に知られておらず、録音を行ったのは、コルトレーンがシアトルに滞在していた1週間の間、コルトレーン・バンドの前座を任されていた、自身もサックス奏者でコルトレーンの友人であったジョー・ブラジルという人物。〈中略〉もともとリリース目的ではなくプライベートな記録用に録音したため、ブラジルが2008年に亡くなるまでテープは彼の自宅に保管されており、生前、親しい友人にこのテープを数回聴かせたことがあったことから、それが噂として広まって今回の発掘に至った」。

アルバムLive In Seattleは1965年9月30日の録音。本作は2日後の10月2日。そして、その間の1日には、アルバムOMをリンウッドのスタジオで録音。リンウッドはシアトルから16マイル離れているが、この3枚はシアトル3部作と言ってもいいだろう。Live In Seattle 76分41秒、OM 28分58秒、A Love Supreme 75分31秒という演奏時間である。OMは30分弱なので、スタジオでは翌日演奏するA Love Supreme(至上の愛)のリハーサルを兼ねていたのではないかと思う。プライベート録音のため、音のバランスが非常に悪く演奏自体の評価が難しいのだが、会場からの拍手を聴く限りでは、充実ライブだったようだ。

1. A Love Supreme, Pt. I - Acknowledgement
2. Interlude
3. A Love Supreme, Pt. II - Resolution
4. Interlude 2
5. A Love Supreme, Pt. III - Pursuance
6. Interlude 3
7. Interlude 4
8. A Love Supreme, Pt. IV - Psalm

John Coltrane - tenor saxophone, percussion
Pharoah Sanders - tenor saxophone, percussion
Carlos Ward - alto saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Donald Rafael Garrett - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on October 2, 1965 at The Penthouse, Seattle, WA.

John Coltrane / Live In Seattle

このアルバムはシアトルでのライブだから、単純にLive In Seattleというタイトルだとずっと思っていた。しかし、いくつかの解説を読んで、ジャケットにはJohn Coltrane Featuring Pharoah Sandersと朱色で書かれていることを発見。つまり、コルトレーンがサンダースを正式メンバーに加えたことを意思表示したアルバムなのである。逆に言えば、マッコイとエルビンがグループから離脱せざるを得なくなったきっかけが、この1965年9月30日のシアトルだったとも言える。

3曲目のEvolutionは狂気の沙汰。コルトレーン、サンダース、ドナルド・ギャレットのフロント3管が、それぞれの「進化」を競い合う。バックのマッコイとエルビンは取り残されていくが、ベースのギャリソンは必死に食らいつく。ギャレットは、バスクラリネットとベースで参加。このライブの2週間後の10月14日に吹き込んだSelflessnessでもバスクラとベースを持ち込んだ。ギャレットのこの狙いは何だったのか。何故にコルトレーンはそれを許したのだろうか。アルバムLive In SeattleのLPでライナーノーツを担当した岩浪洋三氏、CDの今井正弘氏、さらにはアルバムSelflessnessでの後藤雅洋氏、三者ともそのことには一切触れていない。明らかに研究不足だ。

1. Cosmos
2. Out Of This World
3. Evolution
4. Tapestry In Sound

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
Pharoah Sanders - tenor saxophone
Donald Garrett - bass clarinet, bass
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on September 30, 1965 at The Penthouse, Seattle, WA.

John Coltrane / Feelin' Good

1965年2月から9月までに録音され、正規のアルバムに収録されなかった曲を集めたもの。1978年に2枚組LPとしてインパルスからリリースされた。全8曲1時間25分。インパルスとしては手抜きしたジャケットだが、演奏内容の重要性は高い。

My Favorite ThingsはアルバムMy Favorite Things - Coltrane At Newportと、Dusk-Dawnはボーナストラック付きのアルバムKULU SE MAMAと重複するものの、残り6曲は本作のみの音源である。Living SpaceとJoyをアリス・コルトレーンがストリングスとパーカッションを勝手にオーバーダビングしてアルバムInfinityで発表した。しかも、原曲12分を上回るJoyは8分以下に縮めてしまった。そのオリジナル音源が本作には収録されているのだ。2枚組CDとして販売されたことはあるが、現在は廃盤状態。

Disc 1
1. Feelin' Good
2. My Favorite Things
3. Living Space
4. Untitled 90320

Disc 2
5. Untitled 90314
6. Dusk-Dawn
7. Nature Boy
8. Joy

John Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Art Davis - bass (tracks 1,7)
Elvin Jones - drums

Track 1
Recorded on February 18, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 2
Recorded on July 2, 1965 at Newport Jazz Festival Newport.

Track 3, 4 & 6
Recorded on June 16, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 5
Recorded on June 10, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 7
Recorded on February 17, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 8
Recorded on September 22, 1965 at Coast Recorders, San Francisco.