John Coltrane / Stellar Regions

コルトレーンのアルバムジャケットの中で最高の出来と言いたい。光の使い方、文字の配列、そして天空を見上げるトレーン。オリジナルLPのレイアウトより安定感がある。コルトレーンの死後に発見されたテープであるものの、世に出すべくして録音されたのだろう。別テイクを含む全11曲は一日で録音されている。つまり、あるコンセプトに基づいたセッションであった。

そして、ここにはファラオ・サンダースがいない。つまり、ガンの兆候があって体調に苦しんでいたはずだが、様々な実験を試みようとしたコルトレーンをここでは知ることができる。アルバム全体を通して静寂の中からのコルトレーンの叫びであり、ベースソロによる7曲目 Jimmy's Modeもアルバムに溶け込んでいる。1967年2月15日録音。95年10月10日リリース。30年近く眠っていた音源である。

1. Seraphic Light
2. Sun Star
3. Stellar Regions
4. Iris
5. Offering
6. Configuration
7. Jimmy's Mode
8. Tranesonic
9. Stellar Regions [alternate take]
10. Sun Star [alternate take]
11. Tranesonic [alternate take]

John Coltrane - tenor saxophone
Alice Coltrane - piano
Jimmy Garrison - bass
Rashied Ali - drums

Recorded on February 15, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

John Coltrane / Offering

1966年11月11日にフィラデルフィアのテンプル大学で行われたコンサートの音源が発掘され、2014年9月にリリースされたアルバム。比較的安価な輸入盤2枚組CDを購入した。今回、改めて聴き直し、英文Wikipediaで調べたところ、興味深い点をいくつか見つけた。

2人のアルトサックスと3人のパーカッションは、それぞれ地元の学生と地元ミュージシャンで、コルトレーンが声を掛けたそうだ。ラジオ放送されることが前提のコンサートであったにもかかわらず、飛び入り参加に対しては、他のメンバーに不満があったではないだろうか。

そして、ジミー・ギャリソンではなく、ソニー・ジョンソンがベースを弾いていること。ギャリソンは、ハンプトン・ホーズのトリオに参加するためグループを離れると発言したそうだ。この点に関しては、コルトレーン自身に不満があったはずだ。だが、ホーズのディスコグラフィーには、このコンサートの時期のギャリソンとの録音は記載されていない。結局、67年2月録音のアルバムStellar Regionsにギャリソンは参加しているので、一時的に離れただけだったようだ。

さらに、本作ではコルトレーンのボーカルがクレジットされている。LeoとMy Favorite Thingsでコルトレーンは歌っているのだ。というか、雄叫びなのだが…。そして、コルトレーンのディスコグラフィーで、コルトレーンによるボーカルと明確に書かれているのは、本作のみ。雄叫びのコルトレーンの映像を観てみたい。

Disc 1
1. Naima
2. Crescent

Disc 2
1. Leo
2. Offering
3. My Favorite Things

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophones, flute, vocals
Pharoah Sanders - tenor saxophone, piccolo
Arnold Joyner - alto saxophone
Steve Knoblauch - alto saxophone
Alice Coltrane - piano
Sonny Johnson - bass
Rashied Ali - drums
Umar Ali - percussion
Algie DeWitt - percussion
Robert Kenyatta - percussion

Recorded on November 11, 1966 at Mitten Hall, Temple University, Philadelphia.

John Coltrane / Live At The Village Vanguard Again!

コルトレーンを聴き続けるきっかけになったアルバム。学生時代、中野にあったジャズ喫茶「ビアズレー」に入り浸っていた。巨大パラゴンから流れて来たこのアルバムに圧倒され、コルトレーンの全ての音源を聴こうと決心した。ジャズ研でウッドベースをやっていた自分は、コルトレーンだけでなくジミー・ギャリソンによるIntroduction To My Favorite Thingsのベースソロ(6分7秒)に気持ちが熱くなったことを今でも憶えている。

LPでは、このソロでA面が終わり、B面(20分21秒)を占めるMy Favorite Thingsの前奏曲といった感じだ。CD化で切れ目がなくなるかと思っていたが、トラックとしては分かれたまま。だが、演奏そのものは遮断されていない。つまり、計26分28秒のMy Favorite Thingsが展開される。しかし、コルトレーンは、この時点では全てを表現できていなく道半ば。このライブから2か月後、1966年7月22日の東京・サンケイホールでは57分19秒におよぶMy Favorite Thingsを演じゴールを切ったのである。

1. Naima
2. Introduction To My Favorite Things
3. My Favorite Things

John Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophone, bass clarinet, percussion
Pharoah Sanders - flute, tenor saxophone, percussion
Alice Coltrane - piano
Jimmy Garrison - bass
Rashied Ali - drums
Emanuel Rahim - percussion

Recorded on May 28, 1966 at The Village Vanguard, NYC.