John Coltrane / First Meditations

コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルビンによる「黄金のカルテット」の最後の録音と言われているが、実は正しくない。いや、CD化で6曲目Joyの別バージョンが加えられるまでは正しかった。もしくは、別バージョンJoyを含む未発表曲を集めたアルバムFeelin' Goodがリリースされるまでは正しかった。今後、新たな音源の発掘があるかも知れないが、1965年9月22日のサンフランシスコでの演奏が、現時点で最後の録音である。だが、この日の録音はJoyのみ。しかも、なぜにサンフランシスコだったのかは不明。アルバムInfinityでは、コルトレーンの妻アリスが、12分14秒の原曲を切り刻んでオーバーダビングし、ストリングスも加えて7分55秒の曲に陳腐化してしまった。

LPのライナーノーツは岡崎正通氏が担当(1977年12月付け)。岡崎氏は各曲を日本語のタイトルにして解説している。Love - 崇愛(すうあい)、Compassion - 憐憫(れんびん)、Joy - 法悦(ほうえつ)、Consequences - 帰趨(きすう)、Serenity - 沈静(ちんせい)。さっぱり分からない。それぞれの漢字二文字の更なる解説が必要だ。それにしても、コルトレーンの死後に発表されたアルバムとは言え、このジャケットは「黄金のカルテット」に極めて失礼で、これまた陳腐である。

1. Love
2. Compassion
3. Joy
4. Consequences
5. Serenity
6. Joy [alternate version]

John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Tracks 1 - 5
Recorded on September 2, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 6
Recorded on September 22, 1965 at Coast Recorders, San Francisco, CA.

John Coltrane / Sun Ship - The Complete Session

至上最強のクァルテットの最期を捉えたアルバムSun ShipとFirst Meditations(9月2日録音)。その後、コルトレーンはファラオ・サンダースやドナルド・ギャレットを参加させフロントの強化を図った。やがて、ラシッド・アリも加えてツイン・ドラムに。そんなトレーンに追従できなくなったマッコイとエルビンがついに脱退。

変曲点であったSun Shipのセッション全てを記録した2枚組アルバム。国内盤はなく輸入盤を最近入手(送料込み996円)。LPのSun Shipに対して、音楽的には新たな発見はない。しかし、スタジオ録音であっても、一発録りではなくテイクを重ねていたという事実を確認できた。一日で20回近いセッション。集中力との闘いでもあったはずだ。ちなみに、ジャケットの写真でトレーンはソプラノを吹いているが、この日のセッションはテナーのみ。

Disc 1
1. Dearly Beloved [takes 1 & 2, false start and alternate version]
2. Dearly Beloved [take 3, breakdown]
3. Dearly Beloved [take 4, released version]
4. Attaining [take 1, alternate version]
5. Attaining [take 2, breakdown]
6. Attaining [take 3, complete version]
7. Attaining [take 4, insert 1]
8. Sun Ship [take 1, breakdown]
9. Sun Ship [take 2, complete alternate version]
10. Sun Ship [take 3, insert 1]
11. Sun Ship [take 4, complete version]

Disc 2
1. Studio Conversation
2. Ascent [take 1, complete version]
3. Ascent [take 2, incomplete version]
4. Ascent [take 3, false starts, incomplete version]
5. Ascent [takes 4-6, inserts/false starts]
6. Ascent [take 7, complete insert 4]
7. Ascent [take 8, complete insert 5]
8. Amen [take 1, alternate version]
9. Amen [take 2, released version]

LP
1. Sun Ship
2. Dearly Beloved
3. Amen
4. Attaining
5. Ascent

John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on August 26, 1965 at RCA Victor Studios, NYC.

John Coltrane / Live In Paris

2013年7月7日に、以下のようなことを書いた。ようやく2枚組CDを入手でき、LPから焼いたCDはお役御免となった。

LPで発売された時は、Vol.1とVol.2に分かれていた。演奏時間の関係もあって、2日間のライブが、2枚のLPに分散される結果になった。だが、そんな細かい話はどうでもいい。「圧倒」。出てくる言葉は、このくらいしか浮かばない。「爆発」でも「炸裂」でも構わないが、完全に打ちのめされた感じである。エルビンが、演奏中にドラムを蹴飛ばしてステージを降りたという話が残っている。トレーンは、ライブ演奏で観客を圧倒しただけでなく、メンバーさえも追従できない状況を作り上げてしまったのだ。

ここに破壊寸前のコルトレーン・カルテットがある。トレーンは、このライブ演奏から2年を待たないうちに他界。あっけない死であった。このアルバムで特に貴重なのはBlue Valse。ディスコグラフィーを見ても、この曲が残っているのは、このアルバムだけである。アルバム化されていない私的録音が一回だけあるのみ。コルトレーンの一つの特徴は、気に入った曲を徹底的に演奏していったこと。そして、その曲を肉体化した。Blue Valseはアセンションでのフレーズを分離した形になっている。そこに解があるのかも知れない。曲の途中から入るギャリソンのベースソロ。トレーンに最後まで追従したギャリソン。献身的であったとも感じてしまう。

1. Naima
2. Afro Blue
3. Impressions
4. Blue Valse
5. Impressions

Johon Coltrane - soprano saxophone, tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Tracks 1 & 5
Recorded on July 27, 1965 at Juan Les Pins Jazz Festival, Antibes.

Tracks 2, 3 & 4
Recorded on July 28, 1965 at Salla Pleyel, Paris.