Horace Silver / Blowin' The Blues Away

新しい年度が始まり、最初の1枚。このアルバムを聴くと、学生時代にモダンジャズに出会えて良かったと思い直す。毎日のようにジャズ喫茶通いをしていた頃、よく聴いた、いや聴かされたアルバムである。つまり、店主が選ぶだけでなく、客からのリクエストも多かったということだ。エレクトリック・マイルスは勘弁してくれ、コルトレーンはアルバムBalladsまでだ、という人がいるだろうが、ホレス・シルバーがスピーカーから流れ始めたら席を立つという人はまずいない。むしろ、用事があっても最後まで聴かなければと腰を落ち着けてしまう。

ブルー・ミッチェルとジュニア・クックのフロント2管によるレギュラー・クインテットを立ち上げたホレス・シルバーは、1959年1月末にアルバムFinger Poppin'を録音。それから約半年後、本作の録音に着手。異例のスピードである。このクインテットは64年1月まで続くのだが、極めて残念なのはライブアルバムを残さなかったこと。ブルーノートのアルフレッド・ライオンが犯した罪の一つである。

1. Blowin' The Blues Away
2. The St. Vitus Dance
3. Break City
4. Peace
5. Sister Sadie
6. The Baghdad Blues
7. Melancholy Mood
8. How Did It Happen

Junior Cook - tenor saxophone (tracks 1,3-6,8)
Blue Mitchell - trumpet (tracks 1,3-6,8)
Horace Silver - piano
Gene Taylor - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on August 29 & 30 and September 13, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Horace Silver / Finger Poppin'

CD帯は「黄金時代の開始を告げた中期レギュラー・クインテット第1弾」と始まっている。ホレス・シルバーのアルバムは10枚以上所有しているが、時系列的にはあまり捉えて来なかった。ドラマーは入れ替わっているものの、1959年1月録音の本作から、64年1月録音のアルバムSong For My Fatherの前半セッションまでの5年間、不動のメンバーが続いていたことに気付いた。

シルバーは、ブルー・ミッチェルとジュニア・クックによるフロント2管との相性が良かったのだろう。もちろん、本作を録音する時点では、先のことなど気にしていないはず。だが、ジャケットに写るシルバーを見ると、「新たな出発だ!」という表情。全8曲がシルバーの作品であるが、残念なのは新生グループのテーマとなるような曲がないこと。

1. Finger Poppin'
2. Juicy Lucy
3. Swingin' The Samba
4. Sweet Stuff
5. Cookin' At The Continental
6. Come On Home
7. You Happened My Way
8. Mellow D

Junior Cook - tenor saxophone
Blue Mitchell - trumpet
Horace Silver - piano
Gene Taylor - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on January 31, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Horace Silver / Live At Newport '58

貴重な音源が2008年に発売された。しかしながら、演奏内容としては凡庸。ニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ演奏ながら、盛り上がりに今一つ欠ける。

ドラマーのルイス・ヘイズは、ホレス・シルバーのアルバムに参加してきたが、ほとんど初顔合わせの5人だったのではないだろうか。互いのクセも分からず舞台に立ってしまった。そんな気がする。観客の反応は悪くないが、拍手喝采という程ではない。だからこそ、音源が眠っていたとも言えるのだ。

1. Introduction by Willis Conover
2. Tippin'
3. The Outlaw
4. Señor Blues
5. Cool Eyes

Junior Cook - tenor saxophone
Louis Smith - trumpet
Horace Silver - piano
Gene Taylor - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on July 6, 1958 at The Newport Jazz Festival.