Horace Silver / The Stylings Of Silver

ラスト曲My One And Only Loveを除く5曲はホレス・シルバーの作品。ジャケットは、国連を前にして気取ったポーズを見せるシルバーの写真。アルバムタイトルのStylingsは、スーツ姿のシルバーだけでなく、凝った音作りの意味も含んでいるような気がする。そこまで手の込んだ仕掛けをしたのなら、全曲シルバーの作品にして欲しかった。プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、スタンダード曲も入れてシルバーのアレンジの技も表現したかったのかも知れない。確かに、My One And Only Loveは他に例を見ないアレンジの仕上げだ。

1曲目はNo Smokin'(禁煙)。シルバーのアルバムは10枚所有しているが、シルバーが煙草を吸っている写真はどこにもない。彼は煙草嫌いだったのだろうか。アルバムSong For My Fatherのジャケットは実の父。美味しそうに葉巻を加えているのだが。

1. No Smokin'
2. The Back Beat
3. Soulville
4. Home Cookin'
5. Metamorphosis
6. My One And Only Love

Hank Mobley - tenor saxophone
Art Farmer - trumpet
Horace Silver - piano
Teddy Kotick - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on May 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Horace Silver / Six Pieces Of Silver

ホレス・シルバーは1956年4月5日にアルバムJazz Messengersを録音。メンバーはドナルド・バード、ハンク・モブレー、ダグ・ワトキンス、そして、アート・ブレイキー。この時のリーダーはシルバーだったのか、それともブレイキーだったのか。たぶん、曖昧だったのだろう。結局、シルバーはブレイキーと袂を分けた。それだけでなく、メンバーをごっそりと引き連れて半年後に本作を録音。ブレイキーが骨抜きにされた一枚である。

ジャケットのシルバーは、ベンチに座って作曲に余念がない。「メッセンジャーズと名乗っても、メッセージ性のある曲なんか、あいつに書ける訳ないさ」と言っている感じ。で、タイトルをSix Pieces Of Silverとしてしまった。確かに全7曲中の6曲がシルバーの作品。だが、その後にスタンダード曲として扱われたのは5曲目のSeñor Bluesぐらい。シルバーの意気込みは感じるが、一方で焦りがあったはずだ。

1. Cool Eyes
2. Shirl
3. Camouflage
4. Enchantment
5. Señor Blues
6. Virgo
7. For Heaven's Sake

Hank Mobley - tenor saxophone (except tracks 2,7)
Donald Byrd - trumpet (except tracks 2,7)
Horace Silver - piano
Doug Watkins - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on November 10, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Horace Silver / Horace Silver and The Jazz Messengers

タイトルに注目。アート・ブレイキーとザ・ジャズ・メッセンジャーズではない。このアルバムでメッセンジャーズを率いているのはホレス・シルバー。それは当然で、全8曲中の7曲はシルバーの作品。だが、メッセンジャーズという命名はブレイキー。結局、1956年5月のメッセンジャーズ名義での録音を最後に、シルバーを含めたこのアルバムに参加したメンバーはメッセンジャーズを去った。一人残ったのはブレイキー。そして誰もいないメッセンジャーズ。これが逆だったら、ジャズの歴史は違ったものになっただろう。

例えば、ウェイ・ショーターは表舞台に立つことはなく、ウェザー・リポートも不発に終わり、マイルスもサックス奏者を捜し回ることになったかも知れない。さて、ジャケットのシルバーのポーズは何なのか?野球の主審だろうか。そうなると、3ボール、2ストライクでフルカウント。それとも、このアルバムに参加した5人は最高のジャズプレイヤーということか。

1. Room 608
2. Creepin' In
3. Stop Time
4. To Whom It May Concern
5. Hippy
6. The Preacher
7. Hankerin'
8. Doodlin'

Hank Mobley - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
Horace Silver - piano
Doug Watkins - bass
Art Blakey - drums

Tracks 1, 2, 3 & 8
Recorded on November 13, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 4, 5, 6 & 7
Recorded on February 6, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.