Elvin Jones / Love And Peace

エルビンとマッコイ、そしてファラオ・サンダースとなれば、当然ながらコルトレーンへと繋がっていく。LPでは野口久光氏が「待望の3巨人が一堂に会して〈コルトレーン・ジャズ〉のスピリットを80年代によみがえらせた」と。そして、CDでは鈴木哲夫氏が「コルトレーンのスピリッツを踏襲した傑作」と評価している。そうかもしれない。でもなんとなく、そういう意識を持って聴けよ!と言っているような気がしてならない。

日本で企画されたアルバムで、コンセプトの詳細はエルビンにある程度一任したのではないだろうか。エルビンはLove And Peaceという自身が常に思い描いてきたイメージでアルバムを作ろうとした。なので、ここにコルトレーンがいるとは思えない。コルトレーンを引き合いに出した野口氏と鈴木氏は、それぞれが自分の過去を引きずっているのだ。ジャケットに写ったエルビンとマッコイは、まるで成り上がり。なぜに、こんな写真をジャケットに採用したのか。演奏は最高、ジャケットは最低。

1. Little Rock's Blues
2. Hip Jones
3. Korina
4. For Tomorrow
5. Sweet And Lovely
6. Origin

Pharoah Sanders - tenor saxophone (except track 5)
Jean-Paul Bourelly - guitar (except track 5)
McCoy Tyner - piano
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 13 & 14, 1982 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Elvin Jones / Live At The Lighthouse Vol.2

エルビンは1927年9月9日生まれ。つまり、本作はエルビンのバースデーライブだった。しかも、その日は土曜日。翌日の事は気にせず、観客は十分に楽しんだのだろう。後藤雅洋氏がライナーノーツの最後でコルトレーンとエルビンの関係について次のように書いている。

「今回通して聴き直してみて改めて思ったことは、最晩年のコルトレーンの音楽にエルビンが着いて行けなかった理由がかなり明確に見えてきたことだ。それは、エルビンの音楽が持つ良い意味での快楽的要素が、最晩年のコルトレーンには決定的に欠けていたと言う事実である」。なるほど。快楽的と書いてしまうと誤解されることもあるだろうけど、最晩年のコルトレーンが「音」を楽しんでいた、つまり「音楽」をやっていたとは思えないのだ。

1. Introduction - Happy Birthday Greeting
2. Sweet Mama
3. I'm A Fool To Want You
4. The Children, Save The Children
5. Brite Piece
6. The Children's Merry-Go-Round March

Steve Grossman - tenor saxophone, soprano saxophone
Dave Liebman - tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Gene Perla - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on September 9, 1972 at Lighthouse Cafe, Hermosa Beach.

Elvin Jones / Live At The Lighthouse Vol.1

CD帯から。「コルトレーングループを離れてからのエルビンは、往時の夢を追い求めるかのように強力なサックス奏者をフロントに立てたバンドを編成していった。トレーン派の若手だったリーブマン、グロスマンという2本のサックスを従えたバンドは、そんなエルビンの思いを見事に具現化させたものといってよい。〈ファンシー・フリー〉を筆頭に、ロスから遠くないハーモサ・ビーチにあった名クラブが、熱狂的な興奮に包まれてゆく」。

ピアノレスの2サックス・カルテット。ライナーノーツは後藤雅洋氏が担当。CD帯と同様にベーシストについては一切書いていない。ピアノレスだけに、ベースの役割は極めて重要である。残念なことに、ベースラインがあまりにも甘い。Gene Perla(ジーン・パーラ)のベースが下手ということではなく、このメンバーと合っていないのだ。ジャズをリズムで聴くのは簡単なのだが、心に刺さってくるのは緊張感溢れたスケールの根源を作るのがベース。エキサイティングなライブながら、今一つ鋭さに欠けるアルバム。

1. Introduction: Bill Chappell - Announcer: Rick Holmes
2. Fancy Free
3. New Breed
4. Small One
5. Sambra
6. My Ship
7. Taurus People
8. For All Those Other Times - Announcement

Steve Grossman - tenor saxophone, soprano saxophone
Dave Liebman - tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Gene Perla - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on September 9, 1972 at Lighthouse Cafe, Hermosa Beach.