Eric Dolphy / Far Cry

1960年12月21日。ドルフィーにとっては極めて重要な日だった。オーネット・コールマンのアルバムFree Jazzの録音にバスクラリネットで参加。そして、その日の遅くから、自分のセッションに臨んだのである(晶文社『エリック・ドルフィー』より)。このアルバムから一曲を選ぶとなると、ドルフィー自身の曲でアルバムタイトルのFar Cryが捨て難いのだが、マル・ウォルドロン作のLeft Aloneとしたい。ドルフィーの吹くフルートが、この曲の持つ情景を見事に表現している。

最初のCD化でSereneが追加。更なるCD化で別のセッション2曲も加わったものの、ラスト曲Cliff Walkにドルフィーは参加していない。

1. Mrs. Parker Of K.C.
2. Ode To Charlie Parker
3. Far Cry
4. Miss Ann
5. Left Alone
6. Tenderly
7. It's Magic
8. Serene
9. T'aint Nobody's Business If I Do
10. Cliff Walk

Tracks 1 - 8
Eric Dolphy - bass clarinet (tracks 1,7), flute (tracks 2,5), alto saxophone (tracks 3,4,6,8)
Booker Little - trumpet
Jaki Byard - piano
Ron Carter - bass
Roy Haynes - drums
Recorded on December 21, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 9
Eric Dolphy - alto saxophone
Benny Bailey - trumpet
Kenny Dorham - piano
John "Peck" Morrison - bass
Jo Jones - drums
Abbey Lincoln - vocals
Recorded November 1, 1960 at New York Nola Penthouse Sound Studios, NYC.

Track 10
Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Walter Benton - tenor saxophone
John "Peck" Morrison - bass
Jo Jones, Max Roach - drums
Recorded November 1, 1960 at New York Nola Penthouse Sound Studios, NYC.

Eric Dolphy / Out There

一年のケジメをつける時季となった。ケジメという言葉で思い浮かべるジャズミュージシャンの一人がドルフィー。自分が吹き終わったフレーズにはケジメをつけてしまい、次のフレーズへ向かっていく。不連続な点の集まり。そして、彼が持っていたエネルギーは外へ発信するだけでなく、内部へ蓄積していく要素が多分にある。発散と収縮とでも言えようか。

このアルバムは「収縮」である。"Out There" = 「彼方へ」なのだが、彼方とは彼自身の内面のような気がする。それを意識して作り上げたアルバムかどうかは分からないが、ピアノやギターという和音楽器を組み入れていないところに、このアルバムの一つの価値がある。しかも、ベースに加えてセロを入れた構成は、「彼方へ」のコンセプトを十分に表現できている。ましてや、ジャケットが多くのことを物語っている。

1. Out There
2. Serene
3. The Baron
4. Eclipse
5. 17 West
6. Sketch Of Melba
7. Feathers

Eric Dolphy - alto saxophone, flue, B-flat and bass clarinets
Ron Carter - cello
George Duvivier - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on August 15, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Eric Dolphy / Outward Bound

このアルバムを最初に聴いたのは、大学のジャズ研時代、少なくとも週に1度は通っていた中野駅北口のジャズ喫茶『ビアズレー』だったような気がする。2曲目のOn Green Dolphin Streetにぶっ飛んだ。それまでに聴いてきた、もしくは自分でベースを演奏してきたグリーン・ドルフィンとは全く異なる音空間。エリック・ドルフィーを追いかけるきっかけになった曲である。

清水俊彦著『ジャズ・ノート』では、このアルバムを「ドルフィーのさまざまなパワーの文句なしのデモンストレーションになっている」と評している。まさにその通り。かつて、このアルバムには邦題が付いていて『惑星』だった。ジャケットからのイメージと想像するが、悪くはない。しかしながら、初リーダー、演奏内容、ジャケットから『彗星』としてみたい。1960年に彗星の如くジャズ界に現れ、64年6月に帰らぬ人となったドルフィー。

1. G.W.
2. On Green Dolphin Street
3. Les
4. 245
5. Glad To Be Unhappy
6. Miss Toni

Eric Dolphy - flute (track 5), bass clarinet (tracks 2,6), alto saxophone(tracks 1,3,4)
Freddie Hubbard - trumpet (except track 5)
Jaki Byard - piano
George Tucker - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on April 1, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.