Charles Lloyd / Montreux 82

残念ながら、この貴重なライブ音源はCD化されていない。LPでも再発されていないので、完全な廃盤状態にある。まだ現役を続けているチャールス・ロイド。その不満はないのだろうか。ロイドとしては、40年近く前のライブなので、今さら騒ぎ立てても仕方ないということなのか。しかしである。聴き手側の立場で言えば、長い時間を経ても最高の演奏を最高の音質で聴きたいのだ。LPを手放してしまった自分のたわごとになるのだが。

さて、本作はミシェル・ペトルチアーニの参加が最大の聴きどころで、聴衆の反応も非常に良い。そして、何と言ってもForest Flowerの再演。1966年9月のモンタレー・ジャズ・フェスティバルでは、キース・ジャレットがバックを務めた。それから16年後、同じフェスティバルでペトルチアーニが見事なパフォーマンスを見せたのである。やはり、この時のライブ音源をコンプリートな形で聴いてみたいのだ。

1. The Call
2. Wind In The Trees
3. Very Early / Michel
4. Forest Flower - Sunrise / Sunset

Charles Lloyd - flute, oboe, tenor saxophone
Michel Petrucciani - piano
Palle Danielsson - bass
Son Ship Theus - drums

Recorded in July 1982 at The Montreux Jazz Festival.

Charles Lloyd / Love-In

サンフランシスコを中心にした西海岸で、1960年代後半から始まった「フラワー・ムーブメント」。合言葉は「ラブ&ピース」。スコット・マッケンジーが歌った「花のサンフランシスコ」が一つの象徴。1967年5月にリリースされた。その歌詞にはSummertime will be a love-in thereとある。

そして、本アルバムが録音されたのは1967年1月。サンフランシスコのフィルモア・オーディトリアムでのライブ演奏。時間軸が逆転するので、すでにLove-Inという言葉が定着していたのだろう。チャールス・ロイドが、キース・ジャレット達を引き連れてのライブ演奏だったが、ロイドのフルート、キースのピアノ、ディジョネットのドラムという個々の視点で捉えるアルバムではない。ベトナム戦争反対の運動の中で、ロックだけでなくジャズも関わってきた事実を認識すべきなのだろう。しかしながら、ビートルズのアルバムRevolverに収録されたHere, There and Everywhereをロイドが演奏したのは、ロックへ迎合した感じで、何とも後味が悪い。この曲でのキースのピアノも余興みたいだ。

1. Tribal Dance
2. Temple Bells
3. Is It Really The Same?
4. Here, There And Everywhere
5. Love-In
6. Sunday Morning
7. Memphis Blues Again - Island Blues

Charles Lloyd - tenor saxophone, flute
Keith Jarrett - piano
Ron McClure - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on January 27, 1967 at the Fillmore Auditorium, San Francisco, CA.

Charles Lloyd / In Europe

ジャケットは明らかにロック。ジャケットに手間をかけたアトランティック・レーベルに拍手を送りたい。1960年代のチャールス・ロイドの音楽を見事にジャケットで表現した。1966年9月、モントルー・ジャズ・フェスティバル。名曲Forest Flowerで大噴火したロイド・グループ。それまでのジャズの様態とは全く違ったアプローチだった。リズムではなく、インタープレイでもなく、フレーズで観客をなぎ倒した。

10月には同じメンバーでノルウェーへ乗り込んだ。Forest Flowerも演奏したらしいが、彼らが勝負したのはジャズ本来のアドリブを中心としたパフォーマンス。アルバムとしては大きな反響はなかったが、自分たちの方向性を確認するヨーロッパ演奏になったのだろう。演奏会場はオスロのAulaen Hall(オウラエン・ホール)。観客の拍手が非常に不自然で被せた感じ。ライブらしくないライブアルバム。

1. Tagore
2. Karma
3. Little Anahid's Day
4. Manhattan Carousel
5. European Fantasy
6. Hej Da!

Charles Lloyd - tenor saxophone, flute
Keith Jarrett - piano
Cecil McBee - bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded on October 29, 1966 at "Aulaen Hall", Oslo, Norway.