Cannonball Adderley / Things Are Getting Better

キャノンボール・アダレイとミルト・ジャクソンが共演したアルバムは数少なく、本作が唯一と言っても良いだろう。ジャケットには、キャノンボールと同じ文字サイズでミルトの名が記されている。キャノンボール名義だが合作の位置付け。しかしながら、どうもしっくりこない。ミルトのヴァイブの余韻にキャノンボールがアルトで応えるのだが、何となく手探りの感じだ。

二つの楽器がうまく溶け合う場面もあれば、反発するような瞬間もある。セッションを繰り返していれば、アルバムの完成度はより高まったと思う。Getting BetterではなくBestに。

1. Blues Oriental
2. Things Are Getting Better
3. Serves Me Right [take 5]
4. Serves Me Right [take 4]
5. Groovin' High
6. The Sidewalks Of New York [take 5]
7. The Sidewalks Of New York [take 4]
8. Sounds For Sid
9. Just One Of Those Things

Cannonball Adderley - alto saxophone
Milt Jackson - vibraphone
Wynton Kelly - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums

Recorded on October 28, 1958 at Reeves Sound Studio, NYC.

Cannonball Adderley / Portrait Of Cannonball

不覚にも、このアルバムの存在は最近まで知らなかった。名盤Somethin' Elseの4ヶ月後の録音で、その後に録音されたアルバムを追いかけるのは、キャノンボールではなくマイルスに集中し過ぎたのかも知れない。このアルバムの最大のポイントはNardisの収録だろう。「マイルスはキャノンボールの新しい門出を祝し、このセッションのために印象深い〈ナーディス〉を書いた」とライナーノーツに記載されている。だが、この曲の真髄を捉えたのはセッションに参加したビル・エバンスだった。

エバンスが演奏するNardis*に耳が馴染んでしまったので、このアルバムでのキャノンボールの演奏には物足りなさを感じてしまう。マイルスからケチが付いたのか、キャノンボールは二度とNardisを演奏することはなかった。

* 所有するエバンスのアルバムの中でNardisが収録されているのはExplorations / The Solo Sessions Vol.1 / The Bill Evans Trio Live / At The Montreux Jazz Festival / The Paris Concert Edition Twoの5枚。

1. Minority [original issued]
2. Minority [take 2]
3. Minority [take 3]
4. Straight Life
5. Blue Funk
6. A Little Taste
7. People Will Say We're In Love
8. Nardis [take 5]
9. Nardis [take 4]

Cannonball Adderley - alto saxophone
Blue Mitchell - trumpet
Bill Evans - piano
Sam Jones - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on July 1, 1958 at Reeves Sound Studio, NYC.

Cannonball Adderley / Alison's Uncle

名盤Somethin' Elseの姉妹品のようなアルバム。Somethin' Elseから落ちた曲Alison's UncleとオリジナルにあるAutumn Leavesの2曲を無理矢理1枚のアルバムにしてしまった。2曲のみで45回転LP。今では考えられない企画で、アルバム化されなかった音源を発掘するのが1980年代に流行となった。このアルバムが発売されたのは1983年末。

しかも、キャノンボール・アダレイの作品として紹介されたAlison's Uncleは、実はハンク・ジョーンズのBangoonという作品であったことが後に判明。発売元の東芝EMIから謝罪文がでたかどうかは知らない。以下はライナーノーツから抜粋。

「このほどブルーノートの日本販売権を獲得した東芝EMIのスタッフがアメリカに飛んで調査したところ、なんと1曲とはいえ、『サムシン・エルス』とまったく同じメンバーで、しかも同年同月同日にレコーディングされていた未発表演奏が発見された。〈中略〉この曲はレコーディングの直前にキャノンボールの弟ナット・アダレイの子供が生まれ、アリソンと名付けられたところから、キャノンボール自ら『アリソンのおじさん』と命題したもの」。恐らく女性であるこのアリソンは今年63歳になったが、十字架を背負って生きているのであろうか?

1. Alison's Uncle
2. Autumn Leaves

Cannonball Adderley - alto saxophone
Miles Davis - trumpet
Hank Jones - piano
Sam Jones - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 9, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.