Archie Shepp / The Magic Of Ju-Ju

アーチー・シェップというミュージシャンが、言わば自身の暖簾を掲げたアルバムと言える。ジャズと言えばジャズであり、ブルースと言えば、そう言ってもおかしくない。つまり、シェップの礎を築いたということになる。ある意味で、ジャケットのアイデアも功を奏した。タイトルも好奇心を誘うものであった。これらの演出に、毛嫌いしたジャズファンもいただろう。

しかし、演奏の中身はかなり濃い。ピアノレスというのが、ひとつのポイントになっている。和音楽器を入れなかったことで、音の自由度が高まっている。簡単に言えば、リズムを重視したのだが、シェップの粘り気の強いサックスが見事に炸裂している。

1. The Magic Of Ju-Ju
2. You're What This Day Is All About
3. Shazam!
4. Sorry 'Bout That

Archie Shepp - tenor saxophone
Martin Banks - trumpet, flugelhorn
Mike Zwerin - bass trombone, trombone
Reggie Workman - bass
Norman Connors - drums
Beaver Harris - drums
Frank Charles - talking drum
Dennis Charles - percussion
Ed Blackwell - rhythm logs

Recorded on April 26, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Archie Shepp / Live In San Francisco

1966年2月19日、サンフランシスコでのライブ演奏。ジャズが抑えきれないくらいのエネルギーを持っていた時代。しかし、このアルバムの演奏はどこから来て、どこへ行くのか、焦点が定まっていない。ジャケットの写真も、スーツ姿で観光に来たような雰囲気。4曲目のThe Weddingはアーチー・シェップによる詩の朗読。会場からの拍手は一切なし。人種差別に関する内容なのか。そして、ラストのIn A Sentimental Moodは素材として使ったのだろうが、ほとんど料理できていない。生焼けを食ったような感じ。この頃、アーチー・シェップは、まだまだジャズを消化できていなかった。

CD帯は「名演〈ザ・レイディ・シングス・ザ・ブルース〉を含む、60年代シェップの極めつきライブ。盟友ラズウェル・ラッドのトロンボーンも光彩を放つ、シェップ初期の力作。伝説のピアニスト、ハービー・ニコルスの楽曲も演奏」とある。力作かもしれない。だが、朗読などを聞かされた観客が満足したとは到底思えない。

1. Keep Your Heart Right
2. Lady Sings The Blues
3. Sylvia
4. The Wedding
5. Wherever June Bugs Go
6. In A Sentimental Mood

Archie Shepp - tenor saxophone, piano, recitation
Roswell Rudd - trombone
Donald Garrett - bass
Lewis Worrell - bass
Beaver Harris - drums

Recorded on February 19, 1966 at The Both/And Club, San Francisco, CA.

Archie Shepp / Fire Music

CD帯から。『燃える男、シェップが絶頂期に残したアバンギャルドでポップな音楽世界。波に乗るシェップを捉えたインパルス専属第2弾。マルコムXへのトリビュート曲、斬新なアレンジが施されたボサノバの名曲「イパネマの娘」等、聴きどころ満載』。

アーチー・シェップの初めての個人名義アルバムFour For Traneは、1964年8月録音。本作の録音は、それから約半年後。「絶頂期」や「波に乗る」の表現は全く適していない。むしろ、実験段階に入ったというべきだろう。アルバム全体が組曲的な構成になっていて、入念なリハーサルをやったのではないかと思う。最終曲が「イパネマの娘」で、その演奏内容はアルバムの流れに逆らっていない。タイトルFire Musicが「燃えさかる炎」をイメージしてしまうが、炎をときどき揺らす熾火の感じだ。

1. Hambone
2. Los Olvidados
3. Malcolm, Malcolm-Semper Malcolm
4. Prelude To A Kiss
5. The Girl From Ipanema

Archie Shepp - tenor saxophone
Marion Brown - alto saxophone
Ted Curson - trumpet
Joseph Orange - trombone
Reggie Johnson - double bass (tracks 1,2,4,5)
Joe Chambers - drums (tracks 1,2,4,5)
David Izenzon - double bass (track 3)
J.C. Moses - drums (track 3)

Recorded on February 16 and March 9, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.