Archie Shepp / A Sea Of Faces

1983年6月1日付けのライナーノーツで悠雅彦氏がこう書いている。『シェップのポエム「ア・シー・オブ・フェイセズ」を中心にした劇的構成で、ビーヴァー・ハリスらのレシテイション、バレルとブラウンを除く全員によるボイスとアンサンブルとのコール&レスポンスによって興味深く展開される「ソング・フォー・モザンビーク」は、このアルバムに大きな魅力と価値を付与した。シェップのいちばん言いたいことが、この1曲にある』。まさに、悠氏の指摘通りで、だからこそアルバムタイトルをA Sea Of Facesとしたのだろう。なお、バレルとはピアノのDave Burrell、ブラウンとはベースのCameron Brownのこと。そして、「ビーヴァー・ハリスらのレシテイション」とあるが、主なレシテイションは女性ボーカリストBunny Foy(バニー・フォイ)である。

残念ながら、朗読される詩はネイティブでないと理解できないし、ジャケットに載せたシェップ自筆の詩A SEA Of FACESも非常に読みづらい。「父親のバンジョーを演奏する黒人の少年。その響きはあなたの魂を揺さぶる」と始まるが、その後に続く文字は正確に読み取れない。シェップのいちばん言いたいことが、正確に伝わらないのである。

1. Hipnosis
2. Song For Mozambique / Poem: A Sea Of Faces
3. I Know 'Bout The Life
4. Lookin' For Someone To Love

Archie Shepp - tenor saxophone, soprano saxophone, piano, vocals
Charles Greenlee - trombone, tambourine, vocals
Dave Burrell - piano
Cameron Brown - bass
Beaver Harris - drums, tambourine, vocals
Rafi Taha - vocals
Bunny Foy - vocals, maracas

Recorded on August 4 & 5, 1975 at Phonogram Studios, Milano, Italy.

Archie Shepp / Attica Blues

総勢40人によるジャズ、ゴスペル、ブルース、ソウル、ファンク、何でもありのブラックミュージック。しかも、ボーカルとナレーションが主体となっている。

2011年7月付けの原田和典氏のライナーノーツにこう書かれている。「本アルバムのタイトルは71年9月9日にニューヨーク州アッティカの刑務所で起こった囚人暴動にちなむ。囚人の半数以上がアフリカ系アメリカ人およびプエルトリカンだったのに対し、看守は全員白人であり、ニガー・スティックなる棍棒等でのリンチは日常茶飯事だったと伝えられる。暴動を知ったニューヨーク州知事ネルソン・ロックフェラーは州兵に武力弾圧を命じ、39人に死をもたらした」。

つまり、この事件から4ヶ月余りでこの作品を録音したことになる。しかも、アーチー・シェップは、死者と同数のミュージシャン、ナレーター、アレンジャーなど39人を集めて。このアルバムの企画に理解を示したジャズレーベル「インパルス」にも拍手を送りたい。

1. Attica Blues
2. Invocation Attica Blues
3. Steam, Part 1
4. Invocation To Mr. Parker
5. Steam, Part 2
6. Blues For Brother George Jackson
7. Invocation Ballad For A Child
8. Ballad For A Child
9. Good-Bye Sweet Pops
10. Quiet Dawn

Archie Shepp - tenor saxophone, soprano saxophone
Clifford Thornton - cornet
Roy Burrows, Charles McGhee, Michael Ridley - trumpet
Cal Massey - fluegelhorn
Charles Greenlee, Charles Stephens, Kiane Zawadi - trombone
Hakim Jami - euphonium
Clarence White - alto saxophone
Marion Brown - alto saxophone, flute, bamboo flute, percussion
Roland Alexander, Billy Robinson - tenor saxophone
James Ware - baritone saxophone
John Blake, Leroy Jenkins, Lakshinarayana Shankar - violin
Ronald Lipscomb, Calo Scott - cello
Dave Burrell - electric piano
Walter Davis, Jr. - electric piano, piano
Cornell Dupree - guitar
Jimmy Garrison, Gerald Jemmott, Roland Wilson - bass
Ollie Anderson, Nene DeFense, Juma Sultan - percussion
Beaver Harris, Billy Higgins - drums
Joshie Armstead, Henry Hull, Waheeda Massey, Albertine Robertson, Joe Lee Wilson - vocal
Bartholomew Gray, William Kunstler - narrator
RoMas - arranger
Romulus Franceschini - conductor

Recorded on January 24, 25 & 26, 1972 at A&R Studios, NYC.

Archie Shepp / Life At The Donaueschingen Music Festival

一曲44分の一発勝負。ドナウエッシンゲン音楽祭(独:Donaueschinger Musiktage)での、コルトレーンの死後3ヶ月のライブ演奏。この音楽祭での演目作品は、原則として世界初演となる現代音楽だそうだ。LPでのリリースは、A面:Part I、B面:Part IIに分かれていたが、CDでも同じ構成となった。タイトルをLive At ...ではなくLife At ...としたのは、コルトレーンへの追悼の意味があったのだろうか。

ジミー・ギャリソンのベースソロでスタート。曲のタイトル通りOne For The Traneの印象を与える。ただし、シェップのテナーサックスからは、コルトレーンの十八番だった曲(My Favorite Things, Naima, Afro Blue, Impressionsなど)の旋律は出て来ない。むしろ、The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)が飛び出し、緊張感が和らいでしまう。アルバムは、会場からのアンコールの手拍子で終わるのだが、果たして一発勝負の後に、アンコールに応えたのだろうか。Naimaなどを吹いたら、世界初演となる現代音楽にならない。

1. One For The Trane, Part I
2. One For The Trane, Part II

Archie Shepp - tenor saxophone
Grachan Moncur - trombone
Roswell Rudd - trombone
Jimmy Garrison - bass
Beaver Harris - drums

Recorded on October 21, 1967 at The Donaueschingen Musiktage 1967, West Germany.