Art Pepper / Thursday Night At The Village Vanguard

アート・ペッパーは、1977年7月28日(木)、29日(金)、30日(土)の3日連続、計9セット、全45曲のライブをビレッジ・バンガードで行った。そして、タイトルに曜日を付けた3枚のLPをリリース。だが、タイトルの曜日と演奏の日付は合致しておらず、LPという時間的制約から計6面に振り分けた形になっている。ボーナストラックが追加されたものの、CDでもそれを踏襲。95年4月に、この3日間の全貌を明らかにした9枚組CDが発売されているが、2万円近い価格。ちょっと手が出ない。

LPのライナーノーツから。「ジャズは、本来、はかない音楽であり、それらの格別な瞬間だけが人々の思い出の中に生き続ける。だが、時たま、彼らは録音にとりかかり留めておこうとするのだ。バンガードでのそれらの夏の、かもし出され、おりなされた状態が精密に保たれたわけではないけれど、音楽は心に留められることができた。いや、留められたのだ。そして、ここにそれがある」。1980年1月25日/ピーター・キープニュース(JAZZマガジン編集部長)〔翻訳監修:油井正一〕。

1. Valse Triste
2. Goodbye
3. Blues For Les
4. My Friend John
5. Blues For Heard

Art Pepper - alto saxophone
George Cables - piano
George Mraz - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on July 28, 29 & 30, 1977 at The Village Vanguard, NYC.

Art Pepper / The Art Of Pepper

ライナーノーツを読むと、このアルバムは最初にオープンリールテープで販売されたらしい。カセットテープが開発されたのが1962年なので、オーディオの歴史を振り返ってしまう。今や、音楽はネットからダウンロード、もしくはクラウドに保管する時代であるから、「モノ」の価値が変わってしまった。だが、音楽の中身の価値は変わらない。60年以上前のジャズの息吹を感じる一枚。いや、かつては一巻だったのだ。

CD帯から。「哀愁のアルト奏者の熱情がほとばしる絶頂期の名演。明快さの中に見え隠れする光と影。愁いに満ちた美しいフレーズが折り重なるように綴られてゆく」。美辞麗句が並び、アート・ペッパーの真髄を表現しているのだが、逆に言えば、もの凄い重量感やスピード感は味わえないということ。それはよしとしても、The Art Of Pepperという手抜きのタイトル。アート・ブレイキー、アート・ファーマー、アート・テイタム、アート・テイラー達は簡単にパクれる。アート・アンサンブル・オブ・シカゴだけは、そうはいかないのだが。

1. Holiday Flight
2. Too Close For Comfort
3. Long Ago And Far Away
4. Begin The Beguine
5. I Can't Believe That You're In Love With Me
6. Webb City
7. Summertime
8. Fascinating Rhythm
9. Body And Soul
10. Without A Song
11. The Breeze And I
12. Surf Ride

Art Pepper - alto saxophone
Carl Perkins - piano
Ben Tucker - bass
Chuck Flores - drums

Recorded on April 1, 1957 at Audio Arts, Los Angeles, CA.

Art Pepper / Meets The Rhythm Section

今さら特に語る必要のない名盤中の名盤。では、名盤とはしっかりしたコンセプトとメンバー間の意思疎通があって生まれるかというと、必ずしもそうでない。LPのライナーノーツは本アルバムのプロデューサーであるLester Koenig(レスター・ケーニッヒ)が担当。1957年4月2日付けで、翻訳監修は油井正一氏。輸入盤CDにはケーニッヒの原文が記載されている。

「セッションそれ自体は最悪な状況でスタートした。アートはその日の朝までセッションについて知らなかった。録音の日取りはアートの妻のダイアンがきめたのだが、彼女は彼がセッションのことを心配して固くなるのをおそれて黙っていたのである。2週間ほど演奏していなかったので、サックスは乾き切り、ネックのコルクはとれていた。レコーディングについては全くアイデアがなかった。そのうえ、誰もが前の晩遅かったため、スタートが遅れてしまった。しかし、〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉の最初のリハーサルが終わると、ハッキリした見通しがついた」。

1. You'd Be So Nice To Come Home To
2. Red Pepper Blues
3. Imagination
4. Waltz Me Blues
5. Straight Life
6. Jazz Me Blues
7. Tin Tin Deo
8. Star Eyes
9. Birk's Works

Art Pepper - alto saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on January 19, 1957 at Contemporary's Studios, Hollywood, CA.