Art Pepper / Modern Art

『モダン・アート』とは、大胆なタイトルを付けた。確かに『アート』は、ペッパーからの拝借なのだが、少し無理があったような気がする。ペッパー自身も、ジャケット写真では困った様子で下を向いてしまった。そんなことより、アルバムの中身はというと、非常にまとまりのある演奏になっている。

全8曲を一つの作品として聴くべきアルバム。ペッパー作Blues Inで始まり、ペッパー作Blues Outで閉じる。しかも、どちらもアルトとベースのデュオ。他に例を見ない粋なアイデア。だから、『モダン』なのかも知れない。CD化でボーナストラックが追加されたら逆に価値が下がったアルバム。ちなみに、本作リリース1年後の1958年9月にアート・ファーマーは、同じタイトルのアルバムを録音している。

1. Blues In
2. Bewitched
3. When You're Smiling
4. Cool Bunny
5. Diane's Dilemma
6. Stompin' At The Savoy
7. What Is This Thing Called Love?
8. Blues Out

Art Pepper - alto saxophone
Russ Freeman - piano (except tracks 1,8)
Ben Tucker - bass
Chuck Flores - drums (except tracks 1,8)

Tracks 1, 2, 6, 7 & 8
Recorded on December 28, 1956 at Radio Recorders, Hollywood, CA.

Tracks 3, 4 & 5
Recorded on January 14, 1957 at Master Recorders, Hollywood, CA.

Art Pepper / The Return Of Art Pepper

アート・ペッパーのディスコグラフィーを見ると、アルバムSurf Rideのセッションを1954年8月25日に行ない、その2年後の56年7月5日までの期間は録音を残していない。この空白の2年間は、ドラッグによって刑務所にいた訳である。Wikipediaでは、本作を次のように紹介している。The Return of Art Pepper is an album by saxophonist Art Pepper featuring sessions from 1956 recorded for the Jazz: West label after his release from prison.

タイトルThe Return Of Art Pepperとは「ムショ帰り」を意味しているのだ。そして、1曲目のPepper Returnsはペッパー自身の作品で、刑務所から出られたことを繰り返している。さらに、ジャケットに写るペッパーの眼差しは「ようやく務めを終えました」と言っているようだ。そんなこともあって、本作でのペッパーはアルトを吹く喜びに満ち溢れている。

1. Pepper Returns
2. Broadway
3. You Go To My Head
4. Angel Wings
5. Funny Blues
6. Five More
7. Minority
8. Patricia
9. Mambo De La Pinta
10. Walkin' Out Blues

Art Pepper - alto saxophone
Jack Sheldon - trumpet (tracks 1,2,4-7,9,10)
Russ Freeman - piano
Leroy Vinnegar - bass
Shelly Manne - drums

Recorded on August 6, 1956 at Capitol Studios, Vine Street, Hollywood, CA.

Art Pepper / The Art Pepper Quartet

2曲目I Surrender, Dearと5曲目Besame Mucho以外は、全てアート・ペッパーの作品。ボーナストラックが5曲入って全12曲。アルバム全体で43分35秒だが、3分前後の曲が大半を占めるので、油断していると、あっという間に終わってしまう。ジャケットが味気なく、眺めながら聴くと言う感じではない。

ジャケット裏の簡単な英文解説には、Besame Muchoがペッパーのライブで最もリクエストの多かった曲だったと書いている。つまり、50年代半ばのペッパーには十八番(おはこ)の曲だったのだろう。79年7月の東京郵便貯金ホールでのライブアルバムのタイトルは「ベサメ・ムーチョ」。このアルバムは所有できていない。なんと、中古CDが3万円以上で取引されているのだ。「ベサメ・ムーチョ = いっぱいキスして」だが、キスの代金が高すぎる。

1. Art's Opus
2. I Surrender, Dear
3. Diane
4. Pepper Pot
5. Besame Mucho
6. Blues At Twilight
7. Val's Pal
8. Pepper Pot [alternate take]
9. Blues At Twilight [alternate take]
10. Val's Pal [take 1]
11. Val's Pal [take 4]
12. Val's Pal [take 5]

Art Pepper - alto saxophone
Russ Freeman - piano
Ben Tucker - bass
Gary Frommer - drums

Recorded on November 23, 1956 at Radio Recorders, Los Angeles, CA.