ライナーノーツを読むと、このアルバムは最初にオープンリールテープで販売されたらしい。カセットテープが開発されたのが1962年なので、オーディオの歴史を振り返ってしまう。今や、音楽はネットからダウンロード、もしくはクラウドに保管する時代であるから、「モノ」の価値が変わってしまった。だが、音楽の中身の価値は変わらない。60年以上前のジャズの息吹を感じる一枚。いや、かつては一巻だったのだ。
CD帯から。「哀愁のアルト奏者の熱情がほとばしる絶頂期の名演。明快さの中に見え隠れする光と影。愁いに満ちた美しいフレーズが折り重なるように綴られてゆく」。美辞麗句が並び、アート・ペッパーの真髄を表現しているのだが、逆に言えば、もの凄い重量感やスピード感は味わえないということ。それはよしとしても、The Art Of Pepperという手抜きのタイトル。アート・ブレイキー、アート・ファーマー、アート・テイタム、アート・テイラー達は簡単にパクれる。アート・アンサンブル・オブ・シカゴだけは、そうはいかないのだが。
1. Holiday Flight
2. Too Close For Comfort
3. Long Ago And Far Away
4. Begin The Beguine
5. I Can't Believe That You're In Love With Me
6. Webb City
7. Summertime
8. Fascinating Rhythm
9. Body And Soul
10. Without A Song
11. The Breeze And I
12. Surf Ride
Art Pepper - alto saxophone
Carl Perkins - piano
Ben Tucker - bass
Chuck Flores - drums
Recorded on April 1, 1957 at Audio Arts, Los Angeles, CA.