AIR / AIR Song

1970年代後半に立ち上がったWhynotという日本のジャズレーベル。ジャズ評論家・悠雅彦氏がプロデュースし、日本人スタッフが中心となって20枚ほどのアルバムを制作した。ただし、海外ミュージシャンが中心で、日本人はピアニストの辛島文雄ぐらいしかいない。そして、2009年5月21日付けで、ディスクユニオンからこんなニュースが流れていたことが判明した。「悠雅彦氏による伝説のレーベルWHYNOTがCANDIDより再発!」。つまり、70年代末に国内盤LPを購入し、40年ほど経って海外盤中古CDを手に入れた訳だ。ちなみに、レーベルが変わってジャケットも変更になっている。

当時は、ロフトジャズというカテゴリーがあった。ニューヨーク、若手前衛、マイナーレーベル、非営利といったところか。そういう背景は別として、彼ら3人による演奏は、非常に厚みがあり、時にはぞくぞくする静寂感がある。しかしながら、2曲目のタイトルは長い。3人でのリハーサル風景。「じゃあ、次はグレート・ボディ・オブ・ザ・リドル・オア・ホエア・ウァ・ザ・ドッジ・ボーイズ・ホエン・マイ・クレイ・スターテッド・トゥ・スライドをやろうか」「グレート・ボディ・・・スライドもいいけれど、エア・ソングにしないか」「いやいや、エア・ソングは最後にしよう。やはり、グレード・ボディ・・・スライドがいいよ」。3人の意見をまとめるのに時間がかかり過ぎる。

1. Untitled Song
2. Great Body Of The Riddle Or Where Were The Dodge Boys When My Clay Started To Slide
3. Dance Of The Beast
4. Air Song

Henry Threadgill - tenor saxophone, baritone saxophone, alto saxophone, flute
Fred Hopkins - bass
Steve McCall - drums

Recorded on September 10, 1975 at P.S. Recording Studios, Chicago.

Art Taylor / A.T.'s Delight

名脇役アート・テイラーのリーダーアルバム。だからと言って、ドラムが前面に出ている訳ではない。相も変わらず、見事なサポート役に徹している。なのに、コンガを加えている。しかも、ちょっとした味付けではなく、全6曲中の3曲。岡崎正道氏がライナーノーツで「コンガが加わって、いっそうリズム面でもカラフルな色彩感をもつプレイが繰りひろげられてゆくのが聴きものになっている」と書いている。

テイラー名義のアルバムなので、必然的に聴き手はドラムを中心に耳を傾ける。ところが、このコンガが邪魔で仕方ないのだ。もしかすると、LPではA面コンガなし、B面コンガありという構成だったのかと調べたが、CDと同じで2, 3, 5曲目にコンガを配置。プロデューサーはアルフレッド・ライオン。「粋」なジャケットだけど、「野暮」なメンバー構成。1, 4, 6曲目を聴くべきアルバム。

1. Syeeda's Song Flute
2. Epistrophy
3. Move
4. High Seas
5. Cookoo And Fungi
6. Blue Interlude

Stanley Turrentine - tenor saxophone
Dave Burns - trumpet (tracks 1-4,6)
Wynton Kelly - piano (tracks 1-4,6)
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums
Carlos "Potato" Valdes - conga (tracks 2,3,5)

Recorded on August 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Anita O'Day / Anita Sings The Most

所有するアニタ・オデイのアルバムはこの1枚なので、あれこれと論じる資格はない。だが、このアルバムがオディの魅力を十分に引き出しているのは事実だろう。しかし、全11曲を一日の録音で済ませたのは、ちょっと信じ難い。それなりの音合わせをしてからレコーディングに臨んだのではないか。

だとすれば、このメンバーでライブ演奏していれば、もっと迫力のあるアルバムになったはずだ。観客の反応に刺激を受け、オディがエキサイトする歌声を聴いて見たかった。つまり、一曲一曲は小気味よいのだが、アルバム全体の抑揚がいま一つ足りない。

1. 'S Wonderful / They Can't Take That Away From Me
2. Tenderly
3. Old Devil Moon
4. Love Me Or Leave Me
5. We'll Be Together Again
6. Stella By Starlight
7. Taking A Chance On Love
8. Them There Eyes
9. I've Got The World On A String
10. You Turned The Tables On Me
11. Bewitched, Bothered And Bewildered

Anita O'Day - vocals
Oscar Peterson - piano
Herb Ellis - guitar
Ray Brown - bass
John Poole - drums

Recorded on January 31, 1957 at Universal Studios in Chicago.