Al Cohn / Standards Of Excellence

まさにタイトル通りのアルバム。ピアノレスで、アル・コーンとハーブ・エリスの絶妙なコンビネーションが味わえる「大人のジャズ」。テナーサックス、ギター、ベース、ドラムの組合せは非常に珍しい。すぐに思い付くのは、ロリンズがジム・ホールと組んだアルバムThe Bridge(1962年録音)くらいだ。

1980年代に入っても、時代に流されなかったアル・コーン。我が道を歩こう(あるこーん)としたのだ。ジャケットも品があり、コンコード・レコードらしい仕上がりになっている。

1. Russian Lullaby
2. When Your Lover Has Gone
3. O Grande Amor
4. You Say You Care
5. I Want To Be Happy
6. Embraceable You
7. I Remember You
8. When Day Is Done

Al Cohn - tenor saxophone
Herb Ellis - guitar
Monty Budwig - bass
Jimmie Smith - drums

Recorded in November, 1983.

Max Roach / NOMMO

LP両面を通して50分を超えるNommo(ノンモ)の1曲のみ収録。1976年、スイス・ローザンヌでのライブ演奏。だが、10月か9月かの正確なデータは残されていない。観客は1曲だけ聴いて帰ったのだろうか。それとも、いくつかのグループが出演したのか。謎のライブである。大事なことは、ピアノレスのカルテットで、ビリー・ハーパーの冴え切ったサックス。聴くポイントはここにある。

タイトル曲Nommoは65年10月録音のアルバムDrums Unlimitedにも収録されている。ベーシストJymie Merritt(ジミー・メリット)の作品。ジャケット裏面には、In African philosophy there exists a life force known as NONMO.(アフリカの哲学には、ノンモと呼ばれる生命力が存在する)とある。残念ながら本作はCD化されず、LPが1万円以上で取引されている模様。「生命力」が維持されていない。

1. Nommo
2. Nommo (continued)

Billy Harper - tenor saxophone
Cecil Bridgewater - trumpet
Reggie Workman - bass
Max Roach - drums

Recorded on October or September 2, 1976 at Swiss radio broadcast, Lausanne, Switzerland.

Max Roach / Drums Unlimited

マックス・ローチはスマート、つまり多彩なドラマーである。確かに、このアルバムにはドラムソロの曲もあるし、そうでない曲でも随所にドラムソロが出てくるのだが、ローチ自身が前面に出過ぎている感じは受けない。リーダーであるローチは、まさしくリーダーシップを取るものの、メンバー全員をバックアップしている。ただし、ジャケットがなぁ。ローチの練習風景の写真でレイアウト。ちっともスマートでない。

ライナーノーツで、後藤誠氏がジャズドラマーKenny Washington(ケニー・ワシントン)によるローチの功績を引用している。プロによる評価は興味深い。

1. 一貫してドラマーの地位向上に貢献した。
2. テクニックをひけらかすのではなく、音の強弱を測った上で、音楽的に意味のあるラインを作った。
3. トランペット、チューバ、テナーの3管、しかもピアノレスといった実験的な編成に取り組んだ。
4. パーカッションだけのアンサンブル・ユニットを作った。
5. モダンジャズで3拍子や5拍子などの変拍子をいち早く取り入れた。
6. ベースの伴奏つきでドラムソロをとるという新機軸を打ち出した。

1. The Drum Also Waltzes
2. Nommo
3. Drums Unlimited
4. St. Louis Blues
5. For Big Sid
6. In The Red (A Xmas Carol)

James Spaulding - alto saxophone
Roland Alexander - soprano saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Ronnie Mathews - piano
Jymie Merritt - bass
Max Roach - drums

Tracks 1 & 4
Recorded on October 14, 1965 in NYC.

Tracks 2 & 6
Recorded on October 20, 1965 in NYC.

Tracks 3 & 5
Recorded on April 25, 1966 in NYC.