Andre Previn / King Size!

2019年2月28日、アンドレ・プレヴィンが亡くなった。89歳。プレヴィンはジャズ畑ではなくクラシック畑の音楽家。1929年4月6日にベルリンで生まれ、ナチスの迫害から逃れるため、家族に連れられ39年にアメリカへ渡った。その約20年後の58年11月、30歳になる前に録音したアルバム。

ジャズがどんどん尖っていった時代。プレヴィンは、そんな周囲のことを気にせず、自分のペースでピアノトリオによる録音に臨んだ。聴きどころはスタンダード中のスタンダードYou'd Be So Nice To Come Home Toで、他のプレイヤーには見られない曲の構成と音の使い方をしている。それはアルバム全体にも言え、クラッシク的な要素が随所に出てくる。プレヴィンは思い通りのアルバムができたと自負したはずだ。その証拠にライオンの尻尾が笑っている。

なお、所有するプレヴィン名義のアルバムはこの1枚だけだが、1956年8月に録音されたシェリー・マン名義のピアノトリオ・アルバムMy Fair Ladyは所有している。

1. I'll Remember April
2. Much Too Late
3. You'd Be So Nice To Come Home To
4. It Could Happen To You
5. Low And Inside
6. I'm Beginning To See The Light

Andre Previn - piano
Red Mitchell - bass
Frankie Capp - drums

Recorded on November 26, 1958 at Contemporary Records Studio in Los Angeles, CA.

Al Cohn / Standards Of Excellence

まさにタイトル通りのアルバム。ピアノレスで、アル・コーンとハーブ・エリスの絶妙なコンビネーションが味わえる「大人のジャズ」。テナーサックス、ギター、ベース、ドラムの組合せは非常に珍しい。すぐに思い付くのは、ロリンズがジム・ホールと組んだアルバムThe Bridge(1962年録音)くらいだ。

1980年代に入っても、時代に流されなかったアル・コーン。我が道を歩こう(あるこーん)としたのだ。ジャケットも品があり、コンコード・レコードらしい仕上がりになっている。

1. Russian Lullaby
2. When Your Lover Has Gone
3. O Grande Amor
4. You Say You Care
5. I Want To Be Happy
6. Embraceable You
7. I Remember You
8. When Day Is Done

Al Cohn - tenor saxophone
Herb Ellis - guitar
Monty Budwig - bass
Jimmie Smith - drums

Recorded in November, 1983.

Max Roach / NOMMO

LP両面を通して50分を超えるNommo(ノンモ)の1曲のみ収録。1976年、スイス・ローザンヌでのライブ演奏。だが、10月か9月かの正確なデータは残されていない。観客は1曲だけ聴いて帰ったのだろうか。それとも、いくつかのグループが出演したのか。謎のライブである。大事なことは、ピアノレスのカルテットで、ビリー・ハーパーの冴え切ったサックス。聴くポイントはここにある。

タイトル曲Nommoは65年10月録音のアルバムDrums Unlimitedにも収録されている。ベーシストJymie Merritt(ジミー・メリット)の作品。ジャケット裏面には、In African philosophy there exists a life force known as NONMO.(アフリカの哲学には、ノンモと呼ばれる生命力が存在する)とある。残念ながら本作はCD化されず、LPが1万円以上で取引されている模様。「生命力」が維持されていない。

1. Nommo
2. Nommo (continued)

Billy Harper - tenor saxophone
Cecil Bridgewater - trumpet
Reggie Workman - bass
Max Roach - drums

Recorded on October or September 2, 1976 at Swiss radio broadcast, Lausanne, Switzerland.