Bob Dylan / The Time They Are A-Changin'

『時代は変わる』。極めてストレートな邦題、そしてジャケットのディランの表情。このLPを購入したのは、いつだったろう。中学生か高校生になってからか。当時、今は死語となりつつあるプロテストソングのレコードと理解していたが、ディランの内なる闘いだったのだろう。社会の様々な矛盾に対して、詩を書き、それを歌うことが彼の生きていく証だった。そして、彼は今でも歌い続けているのだが・・・。

このアルバムに収録されたOne Too Many Morningsは、1966年のRoyal Albert Hallのライブではエレキギターで再演。そして、76年のHard Rainのライブでは全く違った曲想で演奏。ディランは、曲を創り、それを自ら壊し、そして組み直してきた。過去を葬り去るのではなく、過去と向き合い、今の時代、次の時代の曲にしようと。そんなディランにはまってしまった自分は、最期まで彼と付き合わなければならない。しかし、2012年のTempest以降のアルバム、Shadows In The Night(14年)、Fallen Angels(16年)、Triplicate(17年)では、自らの作品を歌っていない。今年4月の日本公演が中止となってしまった今、ディランは過去に埋もれてしまった歌を掘り出す作業は終わりにすべきだ。「時代は変わる」。だからこそ、自分自身を歌い続けるべきディランであって欲しい。

1. The Times They Are A-Changin'
2. Ballad Of Hollis Brown
3. With God On Our Side
4. One Too Many Mornings
5. North Country Blues
6. Only A Pawn In Their Game
7. Boots Of Spanish Leather
8. When The Ship Comes In
9. The Lonesome Death Of Hattie Carroll
10. Restless Farewell

Bob Dylan - guitar, harmonica, vocals

Recorded on August 6 - October 31, 1963.

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