Miles Davis / You're Under Arrest

マイルスなので聴き通せる。つまり、我慢ができる。ポップスとして聴くなら随所に楽しみがあるが、ジャズとして聴くと何度聴き込んでも新たな発見はほとんどない。この音楽でUnder Arrest(逮捕された)感覚にはならないのだ。マイルスは、ジャズを、そして音楽を自ら切り開いてきたミュージシャンであることは間違いない。だからこそ「帝王」と呼ばれた。だがしかし、このアルバムでは他者を意識して作った感じがする。

マイルス自叙伝②によると、本作のコンセプトは、どこに行っても黒人と警官の間に存在する問題を基にしたとある。そして、こう語っている。「今は核による大虐殺にさらされ、精神的にも閉じ込められている。〈中略〉Then There Were None(そして誰もいなくなった)という曲では、シンセサイザーで、核爆発を思わせる、風がうなって炎が燃え上がるようなサウンドを作り出したんだ。その後で聞こえてくるオレの物悲しいトランペットは、泣き叫ぶ赤ん坊とか、生き延びて悲しむ人々の泣き声を意味するものだ」。なんとも、詰め込み過ぎという印象。

1. One Phone Call / Street Scenes
2. Human Nature
3. MD 1 / Something's On Your Mind / MD 2
4. Ms. Morrisine
5. Katia Prelude
6. Katia
7. Time After Time
8. You're Under Arrest
9. Medley: Jean Pierre / You're Under Arrest / Then There Were None

Miles Davis - trumpet, "Police voices, Davis voices" (track 1), synthesizer (tracks 5,6)
John McLaughlin - guitar (tracks 4-6)
John Scofield - guitar (tracks 1-3,7-9)
Bob Berg - soprano saxophone (track 1), tenor saxophone (tracks 8,9)
Al Foster - drums (tracks 1,7-9)
Vince Wilburn, Jr. - drums (tracks 2-6)
Robert Irving III - synthesizers, celesta, organ, clavinet
Darryl Jones, aka "the munch"- bass
Steve Thorton - percussion, Spanish voice (track 1)
Sting (under his real name Gordon Sumner) - French policeman's voice (track 1)
Marek Olko - polish voice (track 1)
James Prindiville, aka "J.R." - sound of handcuffs (track 1)

Recorded in January 26, 1984 - January 10, 1985 at Record Plant Studio, NYC.

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