前作Star Peopleから半年後に録音されたアルバム。ジャケットのマイルスの表情から、「どう、こんな感じの音楽は?」と聞こえてくる。決して自信に満ち溢れている訳でもなく、評価は任せたよと言っているようだ。自信と不安が入り混じった表情である。これはジャズだろうか。マイルスがやればジャズなのだが、聴き手側が熱くなる瞬間には出会えない。「そりゃそうだろう。このアルバムは、次へ繋げるためのDecoy(おとり)なんだ。つまらないなら、レコードから針を離しなよ」とも聞こえてくる。以下はマイルス自叙伝②からの抜粋。
「1983年の夏の終わりから秋の初め頃には、〈デコイ〉のレコーディングに取りかかった。その一部はライブレコーディングでやることになったが、スタジオではブランフォード・マルサリスのソプラノサックスと、バンドに欲しいと思っていたシンセサイザーが弾けるロバート・アービングを加えた。そして、ギル・エバンスがいくつかアレンジを書いた。オレは、ブランフォードをレギュラー・メンバーにしたかったが、ウイントンとの仕事があって、できなかった」。マイルスのディスコグラフィーで確認すると、マイルスとブランフォードの共演は、本作中の3曲のみで終わっている。
1. Decoy
2. Robot 415
3. Code M.D.
4. Freaky Deaky
5. What It Is
6. That's Right
7. That's What Happened
Miles Davis - trumpet, synthesizer, arrangements
Bill Evans - soprano saxophone, tenor saxophone, flute (tracks 5,7)
Branford Marsalis - soprano saxophone (tracks 1,3,6)
Robert Irving III - synthesizer, synthesizer bass & drum programming (tracks 1-3,6)
John Scofield - guitar (tracks 1,3,5-7)
Darryl "The Munch" Jones - bass (except track 2)
Al Foster - drums (except track 2)
Mino Cinelu - percussion
Gil Evans - arrangements (track 6)
Tracks 1, 2, 3 & 6
Recorded on September 5 & 10, 1983 at Record Plant Studio, NYC.
Track 4
Recorded on June 30, 1983 at A&R Studio, NYC.
Tracks 5 & 7
Recorded on July 7, 1983 at Theatre St. Denis, Montreal.