国内盤2枚組LPには、ライナーノーツとして岩浪洋三氏と鍵谷幸信氏の対談が掲載されている。これが実に面白い。1977年に日本だけでリリースされたアルバムなので、76-77年頃の対談。
岩浪:最近のマイルス・デイビスは、演奏会そのものがひとつの曲であって、昔みたいに、例えば、第一部で6曲演奏したとか、そういうひとつの曲がこま切れで存在しているのではない。
鍵谷:一種のスクランブル・サウンドでしょう。大スクランブルだ。そして音のこま切れのような断片が不定している。
・・・
岩浪:メンバーなんて分からなくたって別にいい。
鍵谷:マイルス自身がそのことにこだわらない。
ところが、先日購入したCDのライナーノーツでは、中山康樹氏がギタリストのドミニク・ゴーモンのことをあれこれ書き、曲名についても解説している(2014年7月26日)。岩浪氏と鍵谷氏の対談を借りれば、「中山はマイルスを全く理解していない」ということになるのだ。
ところで、このアルバムのタイトルは、CBS SonyのA&Rである日本人が提案したらしい。Magusとは、ゾロアスター教のMagiの複数形で、祭司階級の呼称から、人知を超える知恵や力を持つ存在を指す意味、英語のmagicなどの語源となったそうである。まさに、カーネギーホールを舞台にしたマイルスのマジックによって、自在にリズムが変化し、その中で音がちりばめられていく。
1. Dark Magus - Moja
2. Dark Magus - Wili
3. Dark Magus - Tatu
4. Dark Magus - Nne
Miles Davis - organ, electric trumpet with Wah Wah
Dave Liebman - flute, soprano saxophone, tenor saxophone
Azar Lawrence - tenor saxophone
Pete Cosey - electric guitar, synthesizer
Reggie Lucas - electric guitar
Dominique Gaumont - electric guitar
Michael Henderson - electric bass
Al Foster - drums
James Mtume - percussion
Recorded on March 30, 1974 at Carnegie Hall, NYC.