マイルスがいよいよロック畑へ踏み込んだアルバム。ギタリストの起用、ロン・カーターがエレキベースを、そしてハービー・ハンコックがエレキピアノを演奏した。ただし、全曲での取り組みではないので、まだ実験段階だと言える。ギターの導入実験が1968年1月16日、ピアノとベースの電気化実験が5月17日。明らかに様々な構想の中で作り込んだアルバム。
これらの実験の成果は?少なくともジョージ・ベンソンを起用したことは失敗だった。ベンソンのギターは、丸みがあり過ぎて緊張感を阻害している。カーターのエレキベースは楽器特有の味を出し切れていない。結局のところ、マイルスが描いた構想は未完成に終わったアルバム。だが、大事なことは、マイルスがそれを踏み台にして次のステージに向かったことだ。タイトルMiles In The Skyとは、もう飛び続けるしかないという意思の表れだったのだろう。
1. Stuff
2. Paraphernalia
3. Black Comedy
4. Country Son
5. Black Comedy [alternate take]
6. Country Son [alternate take]
Miles Davis - trumpet
Wayne Shorter - tenor saxophone
George Benson - electric guitar (track 2)
Herbie Hancock - electric piano (track 1), piano (tracks 2-6)
Ron Carter - electric bass (track 1), bass (tracks 2-6)
Tony Williams - drums
Recorded on January 16 (track 2) and May 15 (track 4,6), 16 (track 3,5) & 17 (track 1), 1968 at Columbia Studios, Studio B, NYC.