キースは、ソロ・コンサートで一つの頂点を極めた。圧倒的に他の追従を許さない金字塔であったと言える。その翌年にリリースしたアルバム。前作とは全く違ったコンセプト。リズム楽器を強調したグループサウンド。だが、明らかにキースサウンドである。ジャズではあるが、ときにはフォーク色があって、ブルース的なしばりが全くない。決して張りつめた緊張感ではなく、計算された音作りながら、計算外に賭けている音楽。『宝島』なので、宝を持ち帰られたかは聴き手に委ねているのだろう。ジャケット内には、キース作と思われる詩が掲載されている。概念的で難しいのだが訳してみた。未来を描こうというメッセージのような気がする。
Treasure Island / 宝島
The treasure has always been there / 宝物はいつもそこにある
It is not hidden / 隠されてはいない
But is only where certain people would look / だけど、限られた人にしか見つけられない
At all / 誰もではないんだ
Thus it remains a secret to the rest / だから、他の人には秘密のままだ
And to solace themselves / そして心をやわらげるため
They say it's hidden / 隠されているんだ
Or buried / 埋められているかもしれない
To still their invading thoughts / 侵略を抑えるためにも
―――
Some are calm and content / 穏やかに、それでいいという人もいる
Or at peace, in their words / それとも、心安らぎ、自分の言葉にして
Some are stirred and cloudy / 心動かされ憂鬱な人もいる
But they are improving their vision / だけど、彼らは未来を描いているんだ
―――
Of the island / 島の
Of themselves / 自分自身の
1. The Rich (And The Poor)
2. Blue Streak
3. Fullsuvollivus (Fools Of All Of Us)
4. Treasure Island
5. Introduction / Yaqui Indian Folk Song
6. Le Mistral
7. Angles (Without Edges)
8. Sister Fortune
Keith Jarrett - piano, soprano saxophone (track 7)
Dewey Redman - tenor saxophone, tambourine
Charlie Haden - bass
Paul Motian - drums, percussion
Danny Johnson - percussion
Sam Brown - guitar (tracks 4,8)
Guilherme Franco - percussion
Recorded on February 27 & 28, 1974 at Generation Sound Studios, NYC.