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超名盤、ソニー・ロリンズの最高傑作と言われているアルバム。これからジャズを聴こうとしている人、初めてロリンズを聴く人は、このアルバムに心揺さぶられるものがあるはずだ。だが、録音の時点でロリンズはまだ25歳。「超名盤」や「最高傑作」というラベルを貼ってしまうと、25歳の自分を超えられないジャズマン・ロリンズと言っていることに等しい。つまり、「1950年代の」と時期を限定すべきだと思う。たしかに、音楽スタイルを基本的に変えてこなかったロリンズではあるが、本作に留まっていた訳ではない。
CDのライナーノーツには、スイングジャーナル1960年3月号の植草甚一氏のレビューを載せている。『このレコードを買って「モリタート」が急にとび出したときは、ジッとすわっていられなくなってしまった。それまでレコードにすっかり金をはたいたのが、やっと取り返せたという気持ちになったくらいモダンジャズの魅力を持っていたのである』。その気持ちは非常によくわかる。当たりを引くまでアルバムを買い続け、当たりを引いたら、次の当たりをまた探し求める。ロリンズも、次の当たりを求めて行ったのだ。
1. St. Thomas
2. You Don't Know What Love Is
3. Strode Rode
4. Moritat
5. Blue 7
Sonny Rollins - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Doug Watkins - bass
Max Roach - drums
Recorded on June 22, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.
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