森山威男は、1975年の大晦日のコンサートを最後に山下洋輔トリオを脱退。油井正一氏のライナーノーツには、森山による脱退の理由を載せてある。「あのトリオの発足当初は、うまくなりたい、早くまとまったグループになりたいといった目標があったが、いったん達成してしまうと次に目標とするものがなくなってしまった。妻が聖書を勉強していたせいもあって、“何のためにやるか”というようなことを真剣に考えるようになった。とにかく年1度ではあるが3か月を要するヨーロッパ旅行をはじめ、あまりにも自分自身の生活を犠牲にすることが多くなってきた。山下さんは“一生の仕事に情熱を傾けてゆくことが進歩することだ”と励ましてくれたが、僕は大切なものを失うような気がしてならなくなったのです」。
さらに、「山下トリオをやめて、自分の時間を持てるようになると、3か月ほどは音楽以外の仕事を探そうかと考えていた。山下トリオ以上に凄いグループにめぐりあえるはずはなかったので・・・」と付け加えている。もし、森山が音楽以外の仕事に就いていれば、日本のジャズ界にとっては大損失だった。だが、77年3月に新宿ピットインで森山は見事に復活。その瞬間を捉えたアルバム。CDには載っていないが、LPにはピットインでのメンバー4人のショットを掲載。それぞれ最高の表情。
1. Flush Up
2. Softly, As In A Morning Sunrise
3. Yellow Bear
高橋知己 - soprano saxophone, tenor saxophone
板橋文夫 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums
Recorded on March 1 & 2, 1977 at PIT INN, Shinjuku, Tokyo.