McCoy Tyner / The Legend Of The Hour

LPのライナーノーツから一部を抜粋(悠雅彦氏、1981年9月16日付け)。「新レーベルCBSへの移籍を契機として新天地を開拓すべく、あるいは昨今とりわけ著しいストレイト・アヘッド・ジャズへの回帰といった時代風潮を考えるとき、もっと大胆な変化を期待する向きも当然あるだろうし、その点でマッコイのこの新作にいささか物足りなさを感じる人だっているに違いないが、しかしそれだけでこのアルバムを評価することは、やはりやや早計に過ぎるといわなければならないだろう。タイナーという人は無器用なくらい自分の信念に忠実なミュージシャンであり・・・」。悠氏のジャズに対する見方は、常に自分の糧となっているのだが、この文章はいただけない。明らかにマッコイを擁護。マッコイが無器用かどうかは関係ない。マッコイを聴き続けてきたファンにとっては、間違いなく彼の変革を求めてきた。

CDでは、2015年9月付けで村井康司氏が「マッコイがモード・ジャズの延長線上でラテン・ジャズに親和性を覚えても、何の不思議もないのではないか」と書いている。この文章はさらに酷い。マッコイを擁護すらしていない。好きにすればと突き放しているのだ。4曲目のWalk Spirit, Talk Spiritが、このアルバムの本質を表している。モントルーのライブアルバムEnlightenment(1973年7月7日録音)で、怒涛の演奏を繰り広げた曲が、まるでBGMになってしまった。まさしくスピリッツが消え失せたのだ。

1. La Vida Feliz (The Happy Life)
2. Ja'cara (A Serenade)
3. La Habana Sol (The Havana Sun)
4. Walk Spirit, Talk Spirit
5. La Busca (The Search)

Chico Freeman - tenor saxophone
Paquito D'Rivera - soprano saxophone, alto saxophone
Marcus Belgrave - trumpet, flugelhorn
Hubert Laws - flute
Bobby Hutcherson - vibraphone, marimba
Harold Kohan, John Blake, Karen Milne, Elliot Rosoff - violin
Jesse Levine, Julien Barber - viola
Kermit Moore, Jonathan Abramowitz - cello
McCoy Tyner - piano
Avery Sharpe - acoustic bass
Ignacio Berroa - drums
Daniel Ponce - percussion
William Fischer - conductor

Recorded in 1981 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

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