一曲目の「チュニジアの夜」が、かなり粘っこい。そんなに糸を引かなくてもと思うのだが。そんな感じで聴き始め、メンバーを確認すると、いずれも音を溜めるジャズマンである。4ビートジャズの基本は、2と4拍に重きを置く。さらに、それを引きずるように重心を後ろにずらす。この感覚が堪らない。リー・モーガンのトランペットにペッパー・アダムスのバリトンサックスが合わさって、重心のずれがさらに強調される。
ところがである。アドリブの受け渡しに入ると、それぞれのメンバーがその粘り気を断ち切るようなプレイを炸裂。4ビートジャズの醍醐味がここにある。ちなみに、アルバムタイトルのThe cookerという曲は収録されていない。なるほどと思った。見事な包丁さばきで切り刻んでいく料理人ということなのだ。
1. A Night In Tunisia
2. Heavy Dipper
3. Just One Of Those Things
4. Lover Man
5. New-Ma
6. Just One Of Those Things [alternate take]
Lee Morgan - trumpet
Pepper Adams - baritone saxophone
Bobby Timmons - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on September 29, 1957at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.