CD帯には「マイルス・デイビスに多大なインスピレーションを与えた、ジャズピアノのカリスマ」とある。マイルスがジャマルのピアノに惚れ込んだのは事実。だけど、カリスマという表現には疑問。そもそも、ジャズの世界で「カリスマ」なるレッテルはまず用いない。マイルス自叙伝①で、マイルスは「音楽に空間を息づかせるというアーマッド・ジャマルのコンセプト」と評し、次のように語っている。
「アーマッドがオレに大きな影響を与えたことは事実だ。だが、オレはアーマッドを聴くずっと前から、こんなフィーリングを好み、自分で演奏していたんだ、それを忘れないで欲しい。アーマッドは、オレがずっとやっていた音楽に、改めて目を向けさせてくれたんだ。まあオレを、オレ自身に連れ戻してくれたってわけだ」。アーマッドのピアノの特徴は「間」にあると評されることが多いが、それだけでは不十分な気がする。むしろ「語り」ではないだろうか。しかも、自分への「語り」ではなく、聴き手への「語り」。
1. The Awakening
2. I Love Music
3. Patterns
4. Dolphin Dance
5. You're My Everything
6. Stolen Moments
7. Wave
Ahmad Jamal - piano
Jamil Nasser - bass
Frank Gant - drums
Recorded on February 2 & 3, 1970 at Plaza Sound Studios, NYC.