一曲目の「黒いオルフェ」の特徴的なアレンジ。そして、アルバム全体でリラックスした雰囲気を醸し出しているボビー・ハッチャーソンのヴァイブ。この2点が、このアルバムの大きな売りである。デクスター・ゴードンのディスコグラフィーを見ると、ディスク上でのハッチャーソンとの共演は本作が初めて。共演は、プロデューサーのアルフレッド・ライオンによるアイデアだったのだろう。
ジャズのアルバムタイトルは、収録曲から採用することが多い。だが、本作にはGettin' Aroundという曲は存在しない。"get around"は、「あちこち移動する」とか、「動き回る」という意味。自転車に乗るジャケットの写真とは何となく一致するが、どうもしっくりしない。Wikipediaによると、ゴードンは1960年代初頭から76年にかけて渡欧し、フランスやデンマークを拠点に活動、とあった。つまり、本作はアメリカへ一時帰国した時の録音になる。だから、Gettin' Aroundなのだ。自転車は全く関係ない。
1. Manha De Carnaval
2. Who Can I Turn To
3. Heartaches
4. Shiny Stockings
5. Everybody's Somebody's Fool
6. Le Coiffeur
Dexter Gordon - tenor saxophone
Bobby Hutcherson - vibraphone
Barry Harris - piano
Bob Cranshaw - bass
Billy Higgins - drums
Recorded on May 28 (tracks 1,5,6) & 29 (tracks 2,3,4), 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.