ブッカー・リトルのアルバムOut Frontと同様、書籍『エリック・ドルフィー』を読み直して、購入したアルバム。運よく、Amazonで安価な中古CDを見つけた。2つのアルバムには共通点が多い。どちらも、1961年半ばの録音。Out Frontはリトル、本作はマックス・ローチの作品を並べている(本作のMendacityのみはローチとC. Bayenによる合作)。そして、この2人以外にエリック・ドルフィー、アート・デイビス、ジュリアン・プリースターが、両方のアルバムに参加。
Out Frontは重苦しい空気が漂うが、本作はアフロキューバンのリズムが根底。では、本作は単純にリズムに主眼を置いているかと言うと、各曲のタイトルに主張があることに気付く。曲順に訳すと、「Gavey(ガービー)の幽霊、ママ、優しい戦士、殉教者を称え、虚偽、南アフリカから来た男」となる。唯一の固有名詞がGaveyで、以下に世界大百科事典・第2版から抜粋。常に人種差別と闘ってきたローチらしいアルバムなのだ。
「Marcus Moziah Garvey, 1887‐1940 ― ジャマイカ生れの黒人運動指導者。1914年万国黒人改善協会UNIAを創設。16年渡米し、ニューヨークを根拠地に黒人大衆運動を展開。20年代前半に〈アフリカへの帰還〉運動を組織したが、リベリア政府の背信により挫折。27年アメリカから追放され、ロンドンで客死。広く欧米・アフリカの黒人に人種的誇りと向上への希望を植えつけた功績は大きい」。
1. Garvey's Ghost
2. Mama
3. Tender Warriors
4. Praise For A Martyr
5. Mendacity
6. Man From South Africa
Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Eric Dolphy - alto saxophone, flute, bass clarinet
Clifford Jordan - tenor saxophone
Mal Waldron - piano
Art Davis - double bass
Max Roach - drums, percussion
Carlos "Potato" Valdés - congas (tracks 1,3,6)
Eugenio "Totico" Arango (credited as Carlos Eugenio) - cowbell (tracks 1,3,6)
Abbey Lincoln - vocal (tracks 1,5)
Recorded on August 1 (tracks 1 & 5), 3 (tracks 2 & 3), 8 (track 4) and 9 (track 6), 1961 in New York City.