Max Roach / NOMMO

LP両面を通して50分を超えるNommo(ノンモ)の1曲のみ収録。1976年、スイス・ローザンヌでのライブ演奏。だが、10月か9月かの正確なデータは残されていない。観客は1曲だけ聴いて帰ったのだろうか。それとも、いくつかのグループが出演したのか。謎のライブである。大事なことは、ピアノレスのカルテットで、ビリー・ハーパーの冴え切ったサックス。聴くポイントはここにある。

タイトル曲Nommoは65年10月録音のアルバムDrums Unlimitedにも収録されている。ベーシストJymie Merritt(ジミー・メリット)の作品。ジャケット裏面には、In African philosophy there exists a life force known as NONMO.(アフリカの哲学には、ノンモと呼ばれる生命力が存在する)とある。残念ながら本作はCD化されず、LPが1万円以上で取引されている模様。「生命力」が維持されていない。

1. Nommo
2. Nommo (continued)

Billy Harper - tenor saxophone
Cecil Bridgewater - trumpet
Reggie Workman - bass
Max Roach - drums

Recorded on October or September 2, 1976 at Swiss radio broadcast, Lausanne, Switzerland.

Max Roach / Drums Unlimited

マックス・ローチはスマート、つまり多彩なドラマーである。確かに、このアルバムにはドラムソロの曲もあるし、そうでない曲でも随所にドラムソロが出てくるのだが、ローチ自身が前面に出過ぎている感じは受けない。リーダーであるローチは、まさしくリーダーシップを取るものの、メンバー全員をバックアップしている。ただし、ジャケットがなぁ。ローチの練習風景の写真でレイアウト。ちっともスマートでない。

ライナーノーツで、後藤誠氏がジャズドラマーKenny Washington(ケニー・ワシントン)によるローチの功績を引用している。プロによる評価は興味深い。

1. 一貫してドラマーの地位向上に貢献した。
2. テクニックをひけらかすのではなく、音の強弱を測った上で、音楽的に意味のあるラインを作った。
3. トランペット、チューバ、テナーの3管、しかもピアノレスといった実験的な編成に取り組んだ。
4. パーカッションだけのアンサンブル・ユニットを作った。
5. モダンジャズで3拍子や5拍子などの変拍子をいち早く取り入れた。
6. ベースの伴奏つきでドラムソロをとるという新機軸を打ち出した。

1. The Drum Also Waltzes
2. Nommo
3. Drums Unlimited
4. St. Louis Blues
5. For Big Sid
6. In The Red (A Xmas Carol)

James Spaulding - alto saxophone
Roland Alexander - soprano saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Ronnie Mathews - piano
Jymie Merritt - bass
Max Roach - drums

Tracks 1 & 4
Recorded on October 14, 1965 in NYC.

Tracks 2 & 6
Recorded on October 20, 1965 in NYC.

Tracks 3 & 5
Recorded on April 25, 1966 in NYC.

Max Roach / We Insist!

音楽兼公民権活動家Oscar Brown Jr.(オスカー・ブラウン・ジュニア)が、奴隷解放宣言100周年にあたる1963年に発表する作品を企画中に、マックス・ローチが参画。その過程で1960年に8月から9月にかけて録音したアルバム。

ジャケットの写真は強烈。黒人3人がカウンターに座る。カウンター内にいる白人のボーイは、「お前らに食わせるメニューはないよ」という目つき。この写真がやらせなのかは別として、当時のアメリカでは、人種差別は避けて通れない問題。ジャズという音楽で、この問題に正面から取り組んだ作品。60年近い前のアルバムなので、今更、問題作などと位置付けることはできないが、時代を象徴する一枚であることは間違いない。輸入盤CDには、60年11月録音のボーナストラックが3曲追加。さらに、ジャケット右上に左手の握りこぶしまで追加された。

1. Driva' Man
2. Freedom Day
3. Triptych: Prayer / Protest / Peace
4. All Africa
5. Tears for Johannesburg
6. Oh Yeah, Oh Yeah
7. Cliff Walk
8. Tain't Nobody's Bizness If I Do

Tracks 1 - 5
Coleman Hawkins - tenor saxophone
Walter Benton - tenor saxophone
Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Abbey Lincoln - vocals
James Schenk - bass
Max Roach - drums
Michael Olatunji - drums, percussion, conga, voices
Raymond Mantilla - percussion
Tomas du Vall - percussion

Recorded on August 31 and September 6, 1960 at Nola Penthouse Sound Studios, NYC.

Tracks 6 - 8
Benny Bailey - trumpet (tracks 6,8)
Kenny Dorham - trumpet (track 6)
Booker Little - trumpet (track 7)
Julian Priester - trombone (tracks 6,7)
Walter Benton - tenor saxophone (tracks 6,7)
Cecil Payne - baritone saxophone (track 6)
Eric Dolphy - alto saxophone (track 8)
Kenny Dorham - piano (track 8)
John "Peck" Morrison - bass (tracks 6,7,8)
Max Roach - drums (track 6)
Jo Jones - drums (tracks 7,8)
Abbey Lincoln - vocals (track 8)

Recorded on November 1, 1960 at Nola Penthouse Sound Studios, NYC.