チック・コリアは1941年6月生まれ。本作を録音した時はまだ26歳。前作Tones For Joan's Bonesでは、全曲ではないがフロント2管で臨んだ。本作はピアノトリオで真っ向勝負。さらに、ジャケットにはメンバーや曲名などの録音データを一切掲載せず、コリア自作の詩を見開きジャケット内に大きくプリントした(すでに手放したLPのラベルには、曲名とメンバーが書いてあったような気がする)。以下は、詩の前半の部分。国内盤CDライナーノーツから和田政幸氏による訳。コリアは、「喜び」と「哀しみ」を表現しようしたように思える。
Clinging to Beauty; Clinging to Ugliness
Depending on Love and Loving; lingering with hate and hating
Rejoicing to high heaven; then sad unto death
Now he sings; now he sobs
Now he beats the drum; now he stops.
美に執着すれば、結果として醜にもこだわることになる。
愛、または愛の行為をあてにする者には、愛の陰画たる憎悪がかならずつきまとう。
天空をつきぬけるほどの喜びは、死に至るほどの哀しみと表裏一体をなす。
ある者は謳歌し、ある者は泣きぬれる。
ある者は進撃の太鼓をならし、ある者は逃げ腰になる。
1. Matrix
2. My One And Only Love
3. Now He Beats The Drum - Now He Stops
4. Bossa
5. Now He Sings - Now He Sobs
6. Steps - What Was
7. Fragments
8. Windows
9. Pannonica
10. Samba Yantra
11. I Don't Know
12. The Law Of Falling And Catching Up
13. Gemini
Chick Corea - piano
Roy Haynes - drums
Miroslav Vitous - bass
Recorded on March 14, 19 & 27, 1968 at A&R Studios, NYC.