Chick Corea / Expressions

ジャケットが見開きになっている。税別1,000円のCDとしては凝った作りだ。裏面にはジャズマンのイラストと、チック・コリアのメッセージ。諸先輩、同世代のプレイヤーに対して敬意を表している。最初に書かれているのがアート・テイタム。コリアの原点はテイタムにあったことが分かる。CD帯から抜粋。「折々に制作してきたチックのソロ作は自作曲が中心だった。よく知られたスタンダードやセロニアス・モンク、バド・パウエルの名曲集は初めてのプロジェクト」。

1994年度ジャズディク大賞の金賞作品。正直に言えば、この年のジャズ界は不作だった。何故にチックはピアノソロによるスタンダード曲集に臨んだのだろうか。必ずしも時代を反映したアルバムではないのだ。チック自身が新たな方向性を模索する中、一つのアイデアとして録音したのだろう。そんなアルバムの邦題を『星影のステラ』としたことに違和感がある。あくまでも、チックのExpressions(表現方法)を示したに過ぎない。

1. Lush Life
2. This Nearly Was Mine
3. It Could Happen To You
4. My Ship
5. I Didn't Know What Time It Was
6. Monk's Mood
7. Oblivion
8. Pannonica
9. Someone To Watch Over Me
10. Armando's Rhumba
11. Blues For Art
12. Stella By Starlight
13. Anna
14. I Want To Be Happy
15. Smile

Chick Corea - piano

Recorded in February 1994 at Mad Hatter Studios, Los Angeles, CA.

Chick Corea / Trio Music

2枚組LPを所有していた。1枚目はフリー・インプロビゼーション、2枚目がモンクの作品集。新品で買ったのか中古だったのかは覚えていないが、購入理由はミロスラフ・ビトウスのベースが聴きたかったことと、この3人(コリア、ビトウス、ヘインズ)によるモンクの曲の料理方法に興味があったから。1枚のCDに2枚のLPが収まり、フリーの演奏とモンクの曲が連続する形になった。アルバムのコンセプトがぼやけてしまったのは残念。

LPのライナーノーツで児山紀芳氏がこう書いている。「この2枚のアルバムでトリオは一方でフリー・インプロビゼーションに挑み、片方でモンクのコンポジションに挑むという対照的なジャズの領域に取り組んだ。14年前(1968年3月録音)のアルバムNow He Sings, Now He Sobsでやり残した領域にトリオは今あらためて挑んだわけである」。

1. Trio Improvisation 1
2. Trio Improvisation 2
3. Trio Improvisation 3
4. Duet Improvisation 1
5. Duet Improvisation 2
6. Trio Improvisation 4
7. Trio Improvisation 5
8. Slippery When Wet
9. Rhythm-A-Ning
10. 'Round Midnight
11. Eronel
12. Think Of One
13. Little Rootie Tootie
14. Reflections
15. Hackensack

Chick Corea - piano
Miroslav Vitous - bass
Roy Haynes - drums

Recorded in November 1981 at Mad Hatter Studios, Los Angeles, CA.

Chick Corea / In Concert, Zürich, October 28, 1979

チック・コリアとゲイリー・バートンによるピアノとヴィブラフォンのデュオは、1972年11月録音のアルバム『クリスタル・サイレンス』に始まった。そして、7年後のスイス・チューリッヒでのライブで頂点を迎えた。2枚組LPで発売された当時は、それぞれのソロが入っていたが、1枚のCDに収めたことでそれらは割愛された。彼らのソロパフォーマンスも聴いてみたくなるが、このライブのコンセプトとは異なるもの。

ジャケット写真の詳細なデータは記載されていない。たぶん、チューリッヒの夜景を写したものだろう。数秒程度の露光時間と思われる。ところが、ジャケット裏面の写真は不用意に少しだけカメラが右に振られ、露光時間が短くなっている。この日のライブの開演と終演をイメージしている感じだ。ECMとしては、アルバムタイトルをライブの場所と日付とし、ジャケット写真にもこだわった珍しい一枚。

1. Señor Mouse
2. Bud Powell
3. Crystal Silence
4. Tweak
5. Falling Grace
6. Mirror, Mirror
7. Song To Gayle
8. Endless Trouble, Endless Pleasure

Chick Corea - piano
Gary Burton - vibraphone

Recorded on October 28, 1979 in Limmathaus, Zurich.