ずっと気にしていたアルバムだったのだが、いつの間にか買いそびれてしまった。先日、書籍『エリック・ドルフィー』を読み直したところ、その事を思い出した。すぐに中古CDをAmazonで注文。期待していたのは、炸裂するドルフィーのいななき。ところが、アルバム全体の空気が重く、「陰鬱」という言葉が似あっている。全曲がブッカー・リトルの作品で、妙に押し殺したようなアンサンブルが続く。
リトルは何を表現しようとしたのか。その答えはタイトルOut Frontにあるような気がする。録音は1961年前半。本作の直前、リトルは女性ボーカリストAbbey Lincoln(アビー・リンカーン)のセッションに参加。そこでは、Straight Aheadを演奏している。Straight Ahead(真っすぐ)のOut Front(更なる先へ)というのは、無理なこじつけだろうか。少なくとも、リトルは新たなジャズのスタイルを、このアルバムで模索しようとしたことは事実である。
1. We Speak
2. Strength And Sanity
3. Quiet, Please
4. Moods In Free Time
5. Man Of Words
6. Hazy Hues
7. A New Day
8. Strength And Sanity [alternate take]
Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet, flute
Don Friedman - piano
Art Davis - bass (tracks 1,3,7)
Ron Carter - bass (tracks 2,4-6)
Max Roach - drums, timpani, vibraphone
Recorded on March 17, 1961 (tracks 1, 3 & 7) and April 4, 1961 (tracks 2, 4, 5 & 6) at Nola's Penthouse Sound Studios in NYC.