Booker Little / Booker Little And Friend

23歳で急逝したブッカー・リトル。このアルバムを録音した約1ヶ月後の1961年10月5日に命を失った。無念であったと思う。決してブラウンのような天才肌ではなかったが、血を吐くようなトランペットの息遣いは唸らせるものがある。トランペッターとしてのアルバムの活動は3年ほど。このアルバムは、結果的に遺作となった。過少評価されているとは言わないものの、ジャケットデザインが貧弱すぎる。16個のマルに縦のトランペット。リトルの演奏にはシビレルが、彼の顔が浮かんでこない。

プロデューサーは、ヴァイブ奏者で編曲家のテディ・チャールズ。リトルとチャールズは、本作録音の一年前60年8月に共演し、ライブアルバムを残している。しかし、本作においては、チャールズは裏方に徹した。もし、1曲でもチャールスのヴァイブが入っていれば、強烈なスパイスになったと思う。ふと思い出したが、64年5月録音のボブ・ブルックマイヤーのアルバムBob Brookmeyer And Friendsは、友人が複数形。本作は単数形。「友人達」と「相棒」という意味合いだろうか。

1. Victory And Sorrow
2. Forward Flight
3. Looking Ahead
4. If I Should Lose You
5. Calling Softly
6. Booker's Blues
7. Matilde
8. Looking Ahead [alternate take 4]
9. Looking Ahead [alternate take 7]

Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone (except track 4)
George Coleman - tenor saxophone (except track 4)
Don Friedman - piano
Reggie Workman - bass
Pete La Roca - drums

Recorded in Summer 1961 in NYC.

Booker Little / Out Front

ずっと気にしていたアルバムだったのだが、いつの間にか買いそびれてしまった。先日、書籍『エリック・ドルフィー』を読み直したところ、その事を思い出した。すぐに中古CDをAmazonで注文。期待していたのは、炸裂するドルフィーのいななき。ところが、アルバム全体の空気が重く、「陰鬱」という言葉が似あっている。全曲がブッカー・リトルの作品で、妙に押し殺したようなアンサンブルが続く。

リトルは何を表現しようとしたのか。その答えはタイトルOut Frontにあるような気がする。録音は1961年前半。本作の直前、リトルは女性ボーカリストAbbey Lincoln(アビー・リンカーン)のセッションに参加。そこでは、Straight Aheadを演奏している。Straight Ahead(真っすぐ)のOut Front(更なる先へ)というのは、無理なこじつけだろうか。少なくとも、リトルは新たなジャズのスタイルを、このアルバムで模索しようとしたことは事実である。

1. We Speak
2. Strength And Sanity
3. Quiet, Please
4. Moods In Free Time
5. Man Of Words
6. Hazy Hues
7. A New Day
8. Strength And Sanity [alternate take]

Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet, flute
Don Friedman - piano
Art Davis - bass (tracks 1,3,7)
Ron Carter - bass (tracks 2,4-6)
Max Roach - drums, timpani, vibraphone

Recorded on March 17, 1961 (tracks 1, 3 & 7) and April 4, 1961 (tracks 2, 4, 5 & 6) at Nola's Penthouse Sound Studios in NYC.

Booker Little / BOOKER LITTLE [TIME]

今でも不思議に思うのだが、アルバムタイトルが不明確。ジャケットに書かれたBOOKER LITTLEの文字は、ブッカー・リトル名義を示していて、裏面に大きくあるSeries 2000がタイトルのように思えてしまう。CDはLPのこのフォーマットを変えていない。ちなみに、ディスコグラフィーには、released on Time S/2011と記載されている。タイム・レーベル・シリーズ2000の11番目ということだろうか。学生時代のジャズ研では、「ブッカー・リトルのワンホーン・アルバム」で通じた。なぜなら、リトルのワンホーンはこの1枚しかないから。そして、3曲目のBee Tee's Minor Pleaをよく演奏した。マイナーのブルース。Bee Teeとはリトルのニックネームだったそうだ。

録音は1960年4月。翌61年7月6日、このアルバムに参加したスコット・ラファロが交通事故で死去。享年25。そして10月5日、リトルが尿毒症で死去。享年23。貴重なアルバムを遺してくれた二人に感謝したい。

1. Opening Statement
2. Minor Sweet
3. Bee Tee's Minor Plea
4. Life's A Little Blue
5. The Grand Valse
6. Who Can I Turn To

Booker Little - trumpet
Wynton Kelly - piano (tracks 3,4)
Tommy Flanagan - piano (tracks 1,2,5,6)
Scott La Faro - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on April 13 & 15, 1960 in NYC.