清水俊彦 / ジャズ転生

1987年8月30日発行 晶文社 定価2370円。243ページ。清水俊彦氏の著書は2冊所有している。1981年4月発行の『ジャズ・ノート』と本書。前者はあまりにも難解で、読者へ語り掛けるような文章ではなかった。しかし、本書は雑誌『ジャズ・ライフ』と『海』を中心にしたコラム、そして新たに書き下ろしたエッセイ集めたもので、読みやすくなっている。だが、本書に取り上げたミュージシャンに対して、清水氏はインタビューを行っていない。一部にコンサート評があるものの、彼の根源的な弱さがそこにある。彼の言葉が躍動していない理由だ。

第1章
・ミルフォード・グレイヴスが語りかけるもの
・デレク・ベイリー ― 新しい即興言語の開拓者
・アンソニー・デイビスの『エピステーメー』
・ビリー・バングとアンソニー・デイビスの冒険的で挑戦的な新作
・ワールド・サキソフォン・クヮルテットの『レヴュー』
・AMMは音を媒介にして探究を行なう
・セシル・テイラーのスタイルの内的統一性について
・『ソングス』は詩とジャズの挑発的な結合として注目に値する
・チック・コリアによるトリオの新しい建築学のエッセンス
・富樫雅彦と高柳昌行のフリー・インプロビゼーション
・黒人音楽が生きた実体であることをレスター・ボウイは喚起する
・ロナルド・ジャクソンがデコーディング・ソサエティを組織した
・スティーヴ・レイシー・セヴンの『プロスペクタス』
・ザ・ゴールデン・パロミノスとその広がりを垣間見る
・『ザ・ゴールデン・パロミノス』のもう一つの見方
・スペシャル・エディションの聴きかた
・ジャズは伝統へスイング・バックする ― デヴィッド・マレイの場合
第2章
・マイルス・デイビスの変化への耽溺とファンクについて
第3章
・ジョン・ゾーン ― ポスト・モダンの音楽の建築家
・エンニオ・モリコーネの作品を変質させたジョン・ゾーンの新作
・ハル・ウィルナーの制作した『アマルコルド ニーノ・ロータ』
・ゲイリー・ギディンズの『リズマニング』を読む
・ベルギーの異端的なピアニスト、フレッド・ヴァン・ホーフ
・キップ・ハンラハンと『デザイアー・デヴェロップス・アン・エッジ』
・ドン・ピューレンを三つのコンテキストのなかで聴く
・即興の哲学に向けて
・ウィントン・マーサリスと『ブラック・コーズ』について
・独創的なフルート奏者ジェームズ・ニュートンの二作
・ブルースの成行き ― ウォーレスとヘンフィルの場合
・マイルスの器楽的スリラー『ユウ・アー・アンダー・アレスト』
・マイルス・デイビスのコンサートについて
第4章
・キース・ジャレットあるいは役者の影のミュージシャン
第5章
・オーネット・コールマンとプライム・タイムについて
・ブッチ・モリスと彼の〈コンダクション〉
・ラスト・イグジットと『ラスト・イグジット』
・ディアマンダ・ギャラス ― 神秘的なアウトロー
・ザ・ヴィエナ・アート・オーケストラの『エリック・サティのミニマリズム』
・スティーヴ・レイシーのソロ・アルバム『ザ・キス』
・チコ・フリーマン、ウィントン・マーサリス、デヴィッド・マレイ
・ヘンリー・スレッギル・セクステットのアルバムを聴こう
・ノスタルジックなカーラと突飛な領域にまで踏み込んだカーラ
・パット・メセニーの音楽の全領域を収めた二枚のアルバム
・パット・メセニーとオーネット・コールマンの『ソングX』

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