Bob Dylan / Tempest

デビュー50周年に通算35作目となるオリジナルアルバム。1曲目Duquesne Whistleは、ロバート・ハンターとの共作。2008年12月録音の前作Together Through Lifeは、全10曲中の9曲が彼との共作だったが、Tempestはこの曲のみ。録音は12年初頭。この約3年の間に、ディランはじっくりと新作の構想を練ったに違いない。

ジャケット内には参加メンバーの集合写真。詳しく調べていないが、アルバムにメンバーの写真を掲載するのは珍しいだろう。「ディラン組」という感じだ。写真左から、ドニー・ヘロン、トニー・ガーニエ、ボブ・ディラン、ジョージ・リセリ、スチュ・キンボール、チャーリー・セクストン。アコーディオンなどを担当したデイヴィッド・イダルゴが写っていない。つまり、イダルゴが撮ったスナップ写真ではないだろうか。

全10曲を日本語のタイトルにしてみた。「デューケインの汽笛」、「真夜中を過ぎたばかり」、「狭い道のり」、「長くつらい日々」、「血で支払う」、「スカーレット街」、「昔のローマの王様たち」、「ブリキの天使」、「大嵐」、「転がり続けろ、ジョン」。どの曲名も興味深いが、特に「血で支払う」は謎を秘めている。繰り返されるフレーズはI pay in blood, but not my own(わたしは血で支払う、でもわたしの血ではない)。誰に何のために支払うのか? 自分の血でなければ誰の血なのか? ディランは、12年11月から19年11月まで、ライブでこの曲を477回も歌い、血を流し続けてきた。だが、他人の血なのだ。

ところで、発売と同時に購入したアルバムには、TEMPESTと題された60ページの小型手帳が同梱されていた。改めてページをめくってみると、76年4月号の「ヤング・ギター」の表紙がある。Tempestのリリースは12年9月。その36年前に発行された日本の雑誌の表紙をどうやって探したのだろう。「血で支払う」と同様に謎なのである。

1. Duquesne Whistle
2. Soon After Midnight
3. Narrow Way
4. Long And Wasted Years
5. Pay In Blood
6. Scarlet Town
7. Early Roman Kings
8. Tin Angel
9. Tempest
10. Roll On John

Bob Dylan - guitar, piano, vocals, production
Tony Garnier - bass guitar
Donnie Herron - steel guitar, banjo, violin, mandolin
David Hidalgo - guitar, accordion, violin
Stu Kimball - guitar
George G. Receli - drums
Charlie Sexton - guitar

Recorded in January - March 2012 at Groove Masters Studios, Santa Monica, CA.

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