Art Pepper / Living Legend

CD帯から。「表題の〈生ける伝説〉とはペッパー自身を指す。75年、長期間の沈黙からの脱出を遂に実現した復帰第一作。さびつくことのなかったアルトが、豊かにスムーズに鳴り響く」。ここでの長期間とは15年を指す。そして、脱出とは麻薬療養を意味する。つまり、1960年にリーダーアルバムを録音して、その後ある程度の音楽活動はしていたものの、15年振りに吹き込んだのが、このアルバム。

なので、タイトルは『生ける伝説』となった。そのイメージでアルバムは展開していく。バックのハンプトン・ホーズ、チャーリー・ヘインデン、シェリー・マンがペッパーを支える。ところが、ハンプトン・ホーズがエレキピアノも弾いてしまったことで、伝説が少し軽くなってしまった。70年代半ばと言う時代に迎合する必要はなかったはずなのに。

1. Ophelia
2. Here's That Rainy Day
3. What Laurie Likes
4. Mr. Yohe
5. Lost Life
6. Samba Mom-Mom
7. Samba Mom-Mom [alternate take]

Art Pepper - alto saxophone
Hampton Hawes - piano, electric piano
Charlie Haden - bass
Shelly Manne - drums

Recorded on August 9, 1975 in Los Angeles, CA.

Art Pepper / Saturday Night At The Village Vanguard

3枚構成(Thursday, Friday, Saturday)のライブアルバム。ThursdayとFridayのアルバム紹介で必要なことは書いた。ライナーノーツにアート・ペッパー自身の演奏曲についての記載があるので、このSaturdayでは、その一部を転載する。なお、最終曲のFor FreddieはCD化で追加されたため、LPのライナーノーツに記載なし。

You Go To My Head … これは、私がニューヨーク・バラードと呼ぶものである。私がふつうバラードを演奏するより、少し早いテンポで私たちは演奏した。ジョージ・ムラーツとの演奏は素晴らしかった。〈後略〉

The Trip … エルビンは、私たちのまえに、本当に素敵な楽しみをつくってくれた。彼は、本当に偉大な6/8拍子の演奏家である。〈中略〉私自身がこの曲をかき、ジョージやエルビンといっしょにやる前に、すでに録音していたので、私は気軽に演奏していた。私が演奏する、おそらくベストなものだと感じている。

Cherokee … 私が、演奏というものをやり始めた時、私はチェロキーを演奏したかった。そしてその時には、少なくとも耳によって演奏をしていた。それから後、私は、徐々にスケールとコードを学びはじめた。学んでいる間は、この曲は課題曲のひとつだった。演奏することは、とても難しいが、実にスイングしている。ブリッジは、とても難しい。〈後略〉

最後にペッパーはこう語っている。「これは、私の初めてのライブレコーディングだったので、最初のプレイバックをきく時は、まちがいがあるのではないかと、ちょっと不安だった。もし、スタジオで同じものを録音するなら、まちがいに手を加えて修正することもできるだろう。しかし、このレコーディングではライブのフィーリングが立派に遂げられており、それがジャズなんだと認識した。〈後略〉」。

1. You Go To My Head
2. The Trip
3. Cherokee
4. For Freddie

Art Pepper - alto saxophone
George Cables - piano
George Mraz - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on July 28, 29 & 30, 1977 at The Village Vanguard, NYC.

Art Pepper / Friday Night At The Village Vanguard

アート・ペッパーは1960年代後半に負のスパイラルにはまった。麻薬中毒である。しかし、1975年8月にアルバムLiving Legendを録音し見事に復活。そして、77年7月に3日連続のライブをビレッジ・バンガードで行い、曜日ごとに分けた3枚のLPを発表。3枚全てを所有しているが、2日目7/29金曜日のCDを安価な中古で見つけたので購入。CD化でA Night In Tunisiaが追加されていた。

3日連続のライブだと好不調の演奏もあるので、ピックアップして1枚、もしくは2枚組のアルバムに編集するのが一般的。あえて曜日ごとのアルバムにしたのは、ペッパー復活の記録として発表することを重視したのだろう。このアルバムで注目すべきは3曲目のキャラバン。ペッパーはアルトをテナーに持ち替えて演奏している。LPのライナーノーツで、テナーという楽器を愛しているのだとペッパー自身が語っている。

1. Las Cuevas De Mario
2. But Beautiful
3. Caravan
4. Labyrinth
5. A Night In Tunisia

Art Pepper - alto saxophone, tenor saxophone (track 3)
George Cables - piano
George Mraz - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on July 28, 29 & 30, 1977 at The Village Vanguard, NYC.