吉田拓郎 / 大いなる人

このアルバムの中から、カラオケで唄える曲はない。ということは、1970年代後半、メッセージを送れなかった拓郎だったのか、受け止められなかった自分なのか…。「アン・ドゥ・トロワ」の作詞は喜多条忠。それ以外は拓郎の作詞作曲。そして、拓郎自身のアレンジ「大いなる」を除き、元はっぴいえんどの鈴木茂がアレンジを担当。鈴木茂を使って新局面を描こうとしたのだろうが、毒にも薬にもならないアルバムになってしまった。

1. あの娘に逢えたら
2. 未来
3. カンパリソーダとフライドポテト
4. アン・ドゥ・トロワ(ばいばいキャンディーズ)
5. 乱行
6. 悲しい気持ちで
7. おいでよ
8. あなたを愛して
9. 大いなる
10. 歌にはならないけれど

発売 1977年11月

吉田拓郎 / ぷらいべえと

Wikipediaによると「フォーライフが巨額の赤字を出した埋め合わせのため発売。ディランのアルバムSelf Portraitを思いつき、同じコンセプトに基づいて、他人へ提供した曲と自身の愛唱歌を集めたカバーアルバムの制作を決めた。さらに、時間がないためユイ音楽工房にいたアマチュアミュージシャンを集めて短時間で制作」とあった。

アルバムの中で、唯一のフォークの曲「悲しくてやりきれない」。見事にあっさりと歌っている。そして「あゝ青春」は、拓郎にとっても大事なレパートリーになった。

1. 夜霧よ今夜もありがとう
2. 恋の歌
3. 春になれば
4. ルームライト
5. いつか街で会ったなら
6. 歌ってよ夕陽の歌を
7. やさしい悪魔
8. くちなしの花
9. 赤い燈台
10. 悲しくてやりきれない
11. よろしく哀愁
12. メランコリー
13. あゝ青春

発売 1977年4月25日

吉田拓郎 / 明日に向かって走れ

「どうしてこんなに悲しいんだろう」が発表されたのは1971年。5年後のこのアルバムで2回目の録音。自分にとって、この唄は一生もの。なので、ライブは別として2度録音した拓郎の真意が分からない。ミュージシャンとは言え、過去の作品を振り返るのは分かる。事実、ディランは何度も同じ曲を演奏してきている。しかし、時代に即して演奏スタイルを変えてきた。いや、素材を大事にして、その時代に対して伝えたいことを唄ってきたのだろう。

では拓郎は…。このアルバムを「明日に向かって走れ」で開幕し、「どうしてこんなに悲しいんだろう」で中締めして、「悲しいのは」で仕上げした。一曲一曲に重みはあるのだが、アルバム全体を通して伝えたいものが散漫になっている。明日に向かうと決めたら、悲しいことなど後回しであり、そんなことなど考える余裕はないはず。なので、唄わされてしまったアルバムというのが自分の分析。ちょいと厳しいかな。

10年前のブログで上記のように書き、改めて検索したら、こう書いてあった。「’76年5月に拓郎が小室等、井上陽水、泉谷しげるの4人で設立したフォーライフでのファーストアルバム。既製のレコード会社で悶々としていた拓郎は、たまりにたまった今までのうっ積を一気にはき出すように、エネルギッシュに突っ走っている(CDジャーナル・データベースより)」。つまり、フォーライフを設立し、リリースを急いだアルバム。曲数が足りなく「どうしてこんなに悲しいんだろう」を再録したのだろう。

1. 明日に向って走れ
2. 一つの出来事
3. 水無し川
4. 僕の車
5. 我が身可愛いく
6. どうしてこんなに悲しいんだろう
7. 我が家
8. 風の街
9. 午前0時の街
10. ひとり想えば
11. 明日の前に
12. 悲しいのは

発売 1976年5月25日