吉田拓郎 / MUCH BETTER

正直に言えば、80年代後半から90年代にかけての拓郎を聴くのは辛い。唄うべき焦点が定まらない拓郎。歌詞が軽くて、自分自身が拓郎を聴かなくなった時期と重なる。MUCH BETTERでは、拓郎と共に歩んできたファンにとっては、かなり物足りなかったはずだ。逆に、拓郎にとってみれば、もう好きにさせてくれという心境だったのだろう。泉谷しげるの「眠れない夜」までカバーしてしまった。

ところが、商品説明はこんな感じ。「これはいい。吉田拓郎の80年代を代表するアルバムになりそうだ。彼のボーカルには、以前ほどの力強さ、きき手をねじ伏せる迫力はないが、幾分の脆ささえも歌の説得力を深めている。サラリとした歌いっぷりと、音楽的バラエティとの関係も申し分ない」。だったら、何でMUCH BETTERだったのかの説明が欲しい。

1. 「うの」ひと夏 by 高杉
2. 眠れない夜
3. 気がついたら春は
4. 流れ流され
5. よせばいい
6. MR.K
7. すなおになれば
8. いくつもの夜が
9. 現在の現在(いまのいま)

発売 1988年4月21日

吉田拓郎 / サマルカンド・ブルー

全10曲、安井かずみ作詞、加藤和彦編曲。その中で、3曲が加藤和彦作曲で、残りの7曲が拓郎の作曲。シンガーソングライターという言葉は死語になりつつあるが、それを維持できなかった拓郎だった。

決して批判するわけではないが、1980年代半ばに「作詞」できなくなった拓郎に、自分は興味がなくなったのは事実。もう40年近く前の出来事である。今、改めて聴くと「演歌」。安井かずみの詩が貧弱に思えて仕方がない。唯一、3曲目の「パラレル」ぐらいだろうか。 この時代を切り取った曲は。

1. レノン症候群
2. サマルカンド・ブルー
3. パラレル
4. ロンリー・ストリート・キャフェ
5. 七つの夜と七つの酒
6. 時は蠍のように
7. 風のダイアローグ
8. 君の瞳に入りたい
9. 初夏'76
10. 人生キャラバン

発売 1986年9月5日

吉田拓郎 / One Last Night In つま恋

36年前の7月27日と28日のライブ。1985年は、拓郎だけでなく音楽をほとんど聴いていなかったころ。この年の夏、筑波へ単身赴任したため。ステレオ装置は家に置いたまま。当然ながら、レコードもしかりである。筑波のアパートには、小さなテレビが一台あっただけ。音楽からは隔離された85年と86年であった。

Disc 1
1. 暑中見舞い
2. 誕生日
3. I'm In Love
4. 大阪行きは何番ホーム
5. サマーピープル
6. 言葉
7. 今夜も君をその胸に
8. 夏休み
9. やせっぽちのブルース
10. ビートルズが教えてくれた

Disc 2
1. いつも見ていたヒロシマ
2. 川の流れの如く
3. Life
4. 7月26日未明
5. 俺が愛した馬鹿
6. この指とまれ
7. 明日に向って走れ

録音 1985年7月27, 28日