山下洋輔 / Plays Gershwin

山下洋輔の持ち味は、原曲のエッセンスをうまく引き出して、創作料理を作り上げてしまうところにある。日本の童謡を題材にしたときなどは、その腕前を見事に発揮するのだ。ここでの素材はガーシュウィン。洋輔の手癖は随所に出てくるものの、素材に合った料理の仕方。洋輔らしいハチャメチャ感はない。その代わり、何度聴いても飽きがこない仕上がりになっている。

気になるのは、唯一ガーシュウィンの作品でないMy Favorite Thingsを忍び込ませたこと。ところが、この曲が本作の最大の聴き所なのだ。洋輔はガーシュウィンをやりたかったのか、それともMy Favorite Thingsをやりたかったのか。自分が所有する洋輔のアルバムでは、本作以前にこの曲の録音はない。なので、録音チャンスを狙った後者のような気がするのだ。ちなみに、1988年8月録音のアルバムWind Of The Ageで、この曲を再演している。

1. Love Is Here To Stay
2. A Foggy Day
3. My Favorite Things
4. But Not For Me
5. I Love You Porgy
6. It Ain't Necessarily So
7. I Got Rhythm
8. Someone To Watch Over Me
9. Embraceable You

Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums

Recorded on May 2 & 3, 1989 at Clinton Recording Studios, NYC.

山下洋輔 / Crescendo

ヨースケのニューヨーク・トリオによるスイート・ベイジルでのライブ。観客はそれなりに盛り上がっている感じなのだが、果たしてヨースケのピアノを真っ正面から受け入れてくれたのかどうかよく分からない。ヨースケ自身も、掲載された書下ろしエッセイで、そのことを多く語っていない。それ以上に、ライナーノーツで野田秀樹が駄文を並べ紙面を汚している。演奏は及第点、野田は落第点である。というか、野田に依頼したプロデューサーが落第。

CD帯のキャッチコピー「山下洋輔ニューヨーク・トリオの記念すべきファーストアルバム。強力なリズムセクションと出会い、マンハッタンを熱狂させた山下ジャズの真髄!」。この文章を書いたヤツはアルバムを聴いているはずがない。どこが「熱狂」なのだろう。そもそも、ヨースケ、セシル、フェローンの3人はファーストアルバムということもあって、まだ発狂していないのだ。互いの手癖を掴み切っていない感じ。

1. Autumn Changes
2. Take The "A" Train
3. Soul Eyes
4. C.P. Blues
5. First Bridge
6. My One And Only Love

山下洋輔 - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums

Recorded on July 11 & 18, 1988 at Sweet Basil, NYC.

山下洋輔 / Rhapsody In Blue

筒井康隆氏は、ライナーノーツでこのアルバムを絶賛している。まぁ、こき下ろす文を書かれてしまったら、掲載する訳にはいかないのだが・・・。ヨースケを聴き続けてきた自分にとっては、いたく退屈だ。そもそも、クラッシク界に乱入した理由が分からない。いくら理屈を並べても「譜面の世界」である。それを根本から嫌っていたのがヨースケ。

ヨースケの著書『即興ラプソディ―私の履歴書』には、その辺のいきさつが書かれているのだろうが、1,870円は高すぎる。せめて、このCDの付録に履歴書を付けて欲しかった。実際には、演奏者から言葉で音楽を説明されても仕方ないこと。

1. 無伴奏チェロ組曲第一番ト長調プレリュード
2. ノクターン第二番変ホ長調作品9-2
3. ラプソデイ・イン・ブルー
4. 乙女の祈り
5. ユーモレスク
6. ピアノ五重奏曲第二番第一楽章
7. ピアノ五重奏曲第二番第ニ楽章
8. ピアノ五重奏曲第二番第三楽章

山下洋輔 - piano

録音 1986年7月20日 / 大阪・ザ・シンフォニー・ホール