山下洋輔 / Ways Of Time

山下洋輔トリオ結成25周年記念アルバム。1969年の発足当時のトリオは、山下洋輔、中村誠一、森山威男。メンバーが変化しての25周年にどんな意味があったのか。5曲目のAcupunturaは新曲で、それ以外はかつて演奏してきた曲が並ぶ。ライナーノーツの中に49枚のアルバムジャケットの写真が掲載されているが、ソロアルバムも含まれているので、トリオの変遷を示している訳ではない。そして、本作については、洋輔自身がライナーノーツの中で次のように語っている。

「最初のフリージャズトリオを結成してから25年経った区切りに、NYトリオで25周年記念アルバムをレコーディングするという巡り合わせになった。リユニオンとかいう、よくある昔の仲間と再会してのお祭りレコードというのは全く頭になかった」。しかしながら、2009年7月19日に日比谷野外音楽堂で「結成40周年記念!! 山下洋輔トリオ復活祭ライブ」が行われ、Double Rainbow [DVD]として発売された。洋輔は根っからのお祭り男なのである。

1. Picasso
2. Chiasma
3. Bansrikana
4. Another Dawn
5. Acupuntura
6. Mina's Second Theme
7. Music Land
8. Communication

Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass (tracks 1,3-8)
Pheeroan akLaff - drums
Joe Lovano - tenor saxophone (tracks 1,5,6)
Tim Byrne - alto saxophone, baritone saxophone (tracks 2,5,8)

Recorded on May 31 and June 1, 1994 at Clinton Recording Studios, NYC.

山下洋輔 / Dazzling Days

1992年5月録音のアルバムKurdish Danceの続編。メンバーもニューヨーク・トリオ+1という同じ構成。プラスワンであるテナーサックスのJoe Lovano(ジョー・ロヴァーノ)が3曲参加。5曲目のKurdish Windsは、前作のタイトル曲Kurdish Dance同様に9拍子。ライナーノーツには、「共演者にも柳の下の2匹目のドジョウは本当はよくないんだが、などど弁解しつつ笑いあってやりました」と洋輔のコメントが書いてある。「2匹目のドジョウ」をどう英語で表現したのだろう。

7曲目のFour Notes Flightが、このアルバムの中で最も洋輔らしい曲。演奏が進むにつれ、徐々に曲の正体が現れ、そして遠のき、また近づいてくる。非常にワクワクする展開なのだが、少し消化不良気味で終わってしまう。山下、坂田、森山の往年の山下トリオなら間違いなく大爆発しそうな曲。

1. Parallel Run
2. My Grandfather's Clock
3. Promenade
4. Dazzling Cradle
5. Kurdish Winds
6. Jong's Jump
7. Four Notes Flight
8. Lullaby In Color

Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums
Joe Lovano - tenor saxophone (tracks 4,5,7)

Recorded on May 18, 19 & 20, 1993 at Sound on Sound Recording, NYC.

山下洋輔 / Kurdish Dance

1988年に結成したニューヨーク・トリオ。4年後の92年に、ゲストとしてテナーサックスのJoe Lovano(ジョー・ロヴァーノ)を迎え入れた。その理由は、タイトル曲Kurdish Danceにあったのだろう。前のめりのリズムである。このリズムを一度体感してしまうと、病みつきになる。この9拍子の曲をピアノトリオだけで演奏すると、洋輔は自分が酔えないと感じたはずだ。自分が酔えなければ、聴き手を酔わすことなどできない。

かつての山下トリオは、ピアノ、サックス、ドラムという構成だった。曲全体のフォーマットを担うベースを排することで、自由を手に入れようとした。そして、その構成で頂点まで登りつめたトリオを解散。それから約10年後、フォーマット重視のピアノ、ベース、ドラムの形態で新たにスタート。だが、曲によっては自由に遊び回れないことに気付いた。いや、そんなことは初めから承知していたはず。トリオありきでスタートするつもりではなかったニューヨーク・トリオ。いつの間にか、そう呼ばれるようになってしまった。で、このアルバムでは全8曲中の4曲にロヴァーノが参加。2曲はピアノソロという構成でリリース。だが、ジャケットにはNEW YORK TRIOと刻まれている。

1. Kurdish Dance
2. Back Yard
3. ACT 3-8
4. Brooklyn Express
5. Tiny Square
6. Subway Gig
7. 4th Street Up
8. K's Gift

Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass (tracks 1,3-5,7,8)
Pheeroan akLaff - drums (tracks 1,3-5,7,8)
Joe Lovano - tenor saxophone (tracks 1,3,5,7)

Recorded on May 11 & 12, 1992 at Clinton Recording Studios, NYC.