山下洋輔 / 山下洋輔トリオ

ジャケットは1974年合歓『ジャズイン』の写真を使っているが、73年8月25日のスタジオ録音である。そして、間違いなく一発録り。ここに収められた3曲を、この3人がテイク2などをやるはずがない。録り直しても何の意味もないのだから。そもそもが、2トラ38で販売されていた音源らしい。CDのラベルがそれを示している。この「2トラ38」で会話できる相手は僅かだろう。一眼レフのレンズ「サンニッパ」と同じ。

機械そのものが、ある種のステータスを持っていた時代。ではなぜに、この音源をLPに刻み込まなかったのか。このLPという2文字を説明するのも難しくなってきてしまったのだが。想像できる理由は3つ。まず、演奏時間。収録順に18:50, 10:43, 14:21という長さで、LP両面を埋め尽くすには足りなかった。次に、この過激な演奏はレコード針に悪いと言う評判を恐れた。最後は、レコードをプレスしても在庫を抱えそうなので、オンデマンドでテープコピーの販売とした。さて? いずれにしても、山下トリオ第2期の原点がここにある。

1. ズーボ
2. ミナのセカンドテーマ
3. ミトコンドリア

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone, clarinet
森山威男 - drums

録音 1973年8月25日 / モウリスタジオ

山下洋輔 / Mina's Second Theme

山下洋輔トリオの最初のスタジオアルバム(1969年10月14日録音)。69年9月21日のサンケイホールでのライブConcert In New Jazzがファーストアルバムである。この2枚に共通する曲はGuganのみだが、Concert ... はLPの録音時間の都合でMina's Second Themeの演奏が割愛されている(CDでは収録されたが廃盤状態)。なので、ライブのイメージをスタジオに持ち込もうとしたのだろう。

従って、RoihaniはアルバムMina's ... で初めて録音された曲になるのだろう。タイトルの由来は山下ファンにはよく知られている。12音階の全音「ドレミファソラシド」は「CDEFGABC」。「A」から「イ」を当てはめると「ハニホヘイロハ」となる。「BACD」という音階(ある種の演奏のきっかけ)を思いついて、曲名は「ロイハニ」となった。お見事!一方、Guganの出だしは「グガン、グガン、ダパトトン、グガン、ダパトトン」。森山威男は「ダパトトン」から太鼓を叩き始めるので、森山にとっての曲名「だぱととん」と山下は書いている。

1. Mina's Second Theme / ミナのセカンド・テーマ
2. Roihani / ロイハニ
3. Gugan / グガン

山下洋輔 - piano
中村誠一 - tenor saxophone
森山威男 - drums

Recorded on October 14, 1969. (日本ビクター第2スタジオ)

山下洋輔 / Concert In New Jazz

山下洋輔トリオのメジャー・デビュー作。LPは所有していたものの、リーズナブルな中古CDを探し続けて来た。その理由は簡単で、このライブでの聴き所の一つは、3曲目の20分を超える「ミナの2ndテーマ」。LPには入り切らなかったために割愛された。さらに、「木喰」はフェイドアウト。

71分11秒のCDは、ライブの模様を完全収録。相倉久人氏によるメンバー、そして作曲者を含めた曲目の紹介も入っている。ちなみに、LPは39分33秒。LPのライナーノーツは相倉氏が担当。『クロージング・テーマ「ぐがん」の最後に「ブルッ」と妙な音が入っているのは、エキサイトした森山威男がうしろのマイクに後頭部をぶつけたもので、録音上のミスではない』と解説している。もう52年前の出来事。

1. さて
2. MC〈相倉久人のメンバー&曲目紹介〉
3. ミナの2ndテーマ
4. 木輪
5. 木喰
6. ぐがん

山下洋輔 - piano
中村誠一 - tenor saxophone, soprano saxophone, clarinet
森山威男 - drums

録音 1969年9月21日 / サンケイホール