Tommy Flanagan / Positive Intensity

邦題は『白熱』。何というか、もう少し考えてもらいものだ。ライブ演奏ならば、許してもいいけど。まぁ、英文タイトルPositive Intensityも意味不明ではあるが。テオ・マセロのプロデュースによるもので、それなりのコンセプトで製作されたアルバムだろう。ロイ・ヘインズのドラムが前面に迫ってきて、ロン・カーターのベースがブンブンと唸る。フラナガンは、それらを冷静に受け止めている感じ。

フラナガンのディスコグラフィーによると、アルバムTrinityとして1980年にアメリカで発売されたようだ。レーベルはInner City。ジャケットも一新された模様。そんなこともあって、何となくたらい回しにされた感じのアルバム。全体にバランスの良いピアノトリオなのだが、白熱電球ほどには熱くならない。

1. 52nd Street Theme
2. Smooth As The Wind
3. Passion Flower
4. Muffin
5. Verdandi
6. Ruby, My Dear
7. Bess You Is My Woman Now
8. Hustle Bustle
9. Torment

Tommy Flanagan - piano
Ron Carter - bass
Roy Haynes - drums

Tracks 1, 7 & 8
Recorded on November 10, 1976 at CBS Studios, NYC.

Tracks 2 - 6
Recorded on October 4, 1976 at CBS Studios, NYC.

Track 9
Recorded on October 18, 1976 at CBS Studios, NYC.

Tommy Flanagan / The Tommy Flanagan Trio

プレスティッジ・レーベルの傍系レーベルMoods Villeからのリリース。資料によると、このレーベルからリリースされたのは計39枚。最初の9枚全ては1960年にリリースされ、ジャケットのフォーマットを統一。つまり、本アルバムは統一フォーマットの最後に位置する。そんなマーケティング戦略の中で、録音を行い、ジャケットが付与されてリリースされた訳である。

トミー・フラナガンは、全てを納得していたのだろうか。録音された60年は、ジャズにおいて次々と新しい流れが噴出していた。そういう流れと距離を置いて作られたアルバムと言える。このアルバムの演奏の価値が低いとは言わないが、時代背景を考えると、室内にこもってしまったジャズではないだろうか。

1. In The Blue Of The Evening
2. You Go To My Head
3. Velvet Moon
4. Come Sunday
5. Born To Be Blue
6. Jes' Fine
7. In A Sentimental Mood

Tommy Flanagan - piano
Tommy Potter - bass (except track 4)
Roy Haynes - drums (except track 4)

Recorded on May 18, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tommy Flanagan / Overseas

ようやく安価な中古CDを手に入れることができた。これまでは、ノイズだらけのLPをデジタル化しiPhoneに突っ込み、通勤途中で聴いていたので「名盤」が「冥盤」だった。ようやく光が射してきた感じ。オマケに別テイクが3曲加わった。聴きどころ満載のアルバム。注目はフラナガン作であるEclypso。所有するフラナガンのアルバム10枚の中で、4枚に収録されている。録音順に、The Cats(57年4月)、Overseas(57年8月)、Eclypso(77年2月)、Flanagan's Shenanigans(93年4月)。フラナガンの自信作なのだ。

未だに分からないのは、なぜにストックホルムでこのアルバムを録音したか。ディスコグラフィーを見ても、57年前後で北欧での他の録音はない。オーバーシーズというコンセプトが先に決まり、「じゃあ海外で録音!」とは考えられない。ジャケットのCの数が17×11。素数×素数にその答えがあるのだろうか? ――― 改めて、LPのライナーノーツ(油井正一氏、1976年12月7日付け)を読んだら答えを見つけた。J.J.ジョンソン・コンボのメンバーとしてスウェーデンへの楽旅にしたとき、ストックホルムのメトロノーム・レコードに吹き込んだとあった。

1. Relaxin' At Camarillo
2. Chelsea Bridge
3. Eclypso
4. Beat's Up
5. Skal Brothers
6. Little Rock
7. Verdandi
8. Delarna
9. Willow Weep For Me
10. Delarna [take 2]
11. Verdandi [take 2]
12. Willow Weep For Me [take 1]

Tommy Flanagan - piano
Wilbur Little - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on August 15, 1957 in Stockholm, Sweden.