Sonny Rollins / Vol.2

プロモーションとしては失敗作である。ロリンズのブルーノート第2作目ということで、タイトルを単純にVol.2としてしまった。普通ならば、Vol.1の続編と考えてしまう。しかし、Vol.1から5ヶ月後の録音で、メンバーも全く異なり、演奏内容も前作に比べれば非常に充実している。そして、メンバーが凄い。セッションにはホレス・シルバーがいるのに、モンクがゲスト参加していることに注目。そして、モンクの作品MisteriosoとReflectionsが収録されている。

そのMisteriosoが本作の最大の聴き所である。モンクによるピアノから始まり、ロリンズがすぐに入ってくる。モンクのバックでのロリンズのアドリブは、モンクに引き継がれ、次にJ.J.ジョンソンに交代するのだが、そのバックはシルバーが務める。全くスタイルが異なる二人のピアノを1曲の中で堪能できるのだ。これは誰のアイデアだったのだろうか。Rollins plays with Monk & Silverのようなアルバムタイトルにすべきだったのである。

1. Why Don't I
2. Wail March
3. Misterioso
4. Reflections
5. You Stepped Out Of A Dream
6. Poor Butterfly

Sonny Rollins - tenor saxophone
J.J. Johnson - trombone (tracks 1-3,5-7)
Horace Silver - piano (tracks 1-3,5-7)
Thelonious Monk - piano (tracks 3,4)
Paul Chambers - bass
Art Blakey - drums

Recorded on April 14, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / Way Out West

ロリンズによるピアノレストリオの初録音。ロリンズにとっては、一つの実験的な取り組みであったと思う。結果的には完成度の高いアルバムに仕上がったのだが、ベースとドラムとの駆け引きはほとんどない。まさしく、ロリンズらしいリーダーアルバムである。まぁ、相手はレイ・ブラウンとシェリー・マンなので、丁々発止のやりとりはちょっと望めないだろう。この2人は名サポーターなのだ。油井正一氏によるライナーノーツは以下のように始まる。

『僕自身、ソニー・ロリンズの最大傑作は、プレスティッジの〈サキソフォン・コロッサス〉と、この〈ウェイ・アウト・ウエスト〉だと思っている。このことは拙著「ジャズの歴史物語」のロリンズの章で、50年代におけるロリンズの偉大さを知るためには、この2枚があれば、他は「あったほうがよいが、なくても差し支えない」…とまでいいきっている』(1986年3月記)。本作から9ヶ月後に録音された同じピアノレストリオでのライブアルバムA Night At The Village Vanguardは、「なくても差し支えない」というのは全く同意できないのだが。

1. I'm An Old Cowhand
2. Solitude
3. Come, Gone
4. Wagon Wheels
5. There Is No Greater Love
6. Way Out West
7. I'm An Old Cowhand [alternate take]
8. Come, Gone [alternate take]
9. Way Out West [alternate take]

Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Brown - bass
Shelly Manne - drums

Recorded on March 7, 1957 at Contemporary Records Studio, Los Angeles.

Sonny Rollins / Vol.1

時代を遡れば、価値あるアルバムということは間違いない。全5曲中の4曲がロリンズの作品。ブルーノート・レーベルはロリンズを売り出すため、タイトルをVol.1として継続してリリースすることを宣言した。そして、ロリンズに自分の作品を準備するよう指示したのだろう。ロリンズが優れたミュージシャンであることは誰もが認めるところだが、決して優れたコンポーザーとは言えない。

ロリンズの魅力は、原曲に含まれる要素を大事にしながら、自身のアイデアをどんどん盛り込んでいくところにある。溢れ出てくるアイデアを感じる一番の曲はHow Are Things In Glocca Morra?で、ロリンズの作品ではなくミュージカル『フィニアンの虹』の挿入歌。ブルーノートは、ロリンズの魅力を引き出せる曲を用意すべきだった。

1. Decision
2. Bluesnote
3. How Are Things In Glocca Morra?
4. Plain Jane
5. Sonnysphere

Sonny Rollins - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Wynton Kelly - piano
Gene Ramey - bass
Max Roach - drums

Recorded on December 16, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.