Pharoah Sanders / Welcome To Love

何度となく聴いてきたアルバム。1970年代から80年代、ファラオ・サンダースはコルトレーンの音楽を継承するミュージシャンの一人と言われてきたが、結局はコルトレーンに近づいたものの越えられなかった。しかし、1990年になって、このアルバムを録音。しかも、コルトレーンの命日7月17日に録音を開始したということは、ある意味吹っ切れたのだろう。全曲バラードであり、サブタイトルがPlays Beautifull Balladsとなっている。

1962年に録音されたコルトレーンのアルバムBalladsを、30年近く経って自分なりの解釈で演奏したい!という欲求が出てきたと推測する。間違いなく彼の代表作であり、この瞬間はコルトレーンを越えたと言いたい。名盤である。そして、本作の録音から2年後の92年10月、同じカルテットの構成で、ピアノにウィリアム・ヘンダーソンを再度迎え、さらに深化したバラードの2枚組アルバムCrescent With Loveを録音することになる。

1. My One And Only Love
2. Say It (Over And Over Again)
3. You Don't Know What Love Is
4. I Want To Talk About You
5. Nancy (With The Laughing Face)
6. Polka Dots And Moonbeams
7. The Nearness Of You
8. Moonlight In Vermont

Pharoah Sanders - tenor saxophone, soprano saxophone
William Henderson - piano
Stafford James - bass
Eccleston W. Wainwright - drums

Recorded on July 17, 18 & 19, 1990 at Studio Gimmick, Yerres, France.

Pharoah Sanders / Africa

最初の一音でノックアウトされる。全8曲中、ファラオ自身の曲が6曲。このアルバムでピアノ弾くジョン・ヒックス作1曲、コルトレーンのNaima、そしてスタンダード曲のSpeak Lowというバランスの取れた構成。80年代後半、ファラオはストレートでアグレッシブなジャズをやっていたのだ。

注目すべきはSpeak Lowを選曲したこと。ファラオのディスコグラフィーによると、この曲を録音したのは、このアルバムAfricaのみ。ソニー・クラークの1957年9月録音のアルバムSonny's Cribでは、ドナルド・バード、カーティス・フラー、ジョン・コルトレーンの豪華3管フロントでSpeak Lowを録音。ファラオが一本のテナーで3管に対抗した訳ではないだろうが、Naimaを含めてトレーンへの何らかの想いがあったのかも知れない。

1. You've Got To Have Freedom
2. Naima
3. Origin
4. Speak Low
5. After The Morning
6. Africa
7. Heart To Heart
8. Duo

Pharoah Sanders - tenor saxophone
John Hicks - piano
Curtis Lundy - bass
Idris Muhammad - drums

Recorded on March 11, 1987 in Monster, Netherlands.

Pharoah Sanders / Live...

1981年4月、西海岸でのコンサートツアーから5曲(LPは4曲)をピックアップし、1枚のアルバムにまとめたもの。それぞれの演奏のポテンシャルは高いのだが、3か所のライブから寄せ集めているので全体の統一感は欠ける。しかも、1曲目と2曲目は、演奏の日付が特定できていないという録音スタッフの手抜き。タイトルがLive...となっているのは、「ライブ(なんだけど、録音データが…)」という意味なのだろうか。

中古輸入盤CDには次のようなジョン・コルトレーンのメッセージが載っている。これも、いつどこでのコルトレーンの発言なのかは分からない。アルバムとしては極めて不出来だが、演奏は上出来。

Pharoah is a man of large spiritual reservoir. He's always trying to reach out to truth. He's trying to allow his spiritual self to be his guide. He's dealing, among other things, in energy, in integrity, in essences. I so much like the strength of his playing. Furthermore, he is one of the innovators, and it's been my pleasure and privilege that he's been willing to help me.

ファラオは精神的に大きい受け皿を持っているんだ。いつも正直であろうとしている。自分の進むべき方向へ魂を向けている。エネルギーがあり、誠実さもあって、本音で立ち向かっている。彼は演奏に全力を傾けていることが素晴らしい。そして、彼は革新的であり、自分に手を貸してくれることに喜びを感じる。(勝手な訳:自分)

1. You've Got To Have Freedom
2. Easy To Remember
3. Blues For Santa Cruz
4. Pharomba
5. Doktor Pitt

Pharoah Sanders - tenor saxophone
John Hicks - piano
Walter Booker - bass
Idris Muhammad - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on April 16-19, 1981 at The Maiden Voyage, Los Angeles, CA.
Tracks 3 & 4
Recorded on April 20, 1981 at The Kuumbwa Jazz Center, Santa Cruz, CA.
Track 5
Recorded on April 12, 1981 at the Great American Music Hall, San Francisco.