Paul Bley / Touching

ポール・ブレイのピアノを言葉で表すのは非常に難しい。言葉が浮かんでこない。ピアノトリオである。それは単に楽器編成のこと。ベースが楽曲の流れを作り、ドラムがリズムを刻んで、ピアノが旋律を奏でるという典型的なトリオでは決してない。では、三位一体かと言うと、そういうフォーメーションも取っていない。

ドラムが激しいリズムを刻んでも、ポールはそれに乗ってこない。自分の感情のままピアノを弾いている感じを受ける。ならば、なぜトリオで演奏するのだろうか。たぶん、ポールは言うだろう。「一人じゃつまらないから」と。

1. Start
2. Touching
3. Pablo
4. Both
5. Mazatalan
6. Cartoon
7. Closer

Paul Bley - piano
Kent Carter - bass
Barry Altschul - drums

Recorded on November 5, 1965 in Copenhagen, Denmark.

Pat Metheny / Song X: Twentieth Anniversary

ジャズが混沌としていた80年代半ば、パット・メセニーはオーネット・コールマンと物凄く密度の高い音楽を創り上げた。そして、そこにはチャーリー・ヘイデンとジャック・ディジョネットが参加。コールマンの息子であるデナードも。録音から20年後の2005年。時代はLPからCDに変わり、曲目を追加し再度マスタリングして発売された。さらにそれから10年。コールマンは2015年6月に帰らぬ人となってしまったが、このSONG Xの価値は録音から35年以上経った今でも衰えていない。以下は、メセニー自身によるライナーノーツ(2005年5月付け)からの抜粋。

「このプロジェクトでコラボレーションしていた当時、オーネットと私は、時間を掛けて私たちが成し遂げるべき目標について話し合っていました。その話し合いの中で常に出てき続けたテーマの一つが、今まで誰も創ったことのないレコードを作ろうというものでした。あの当時でさえ、この作品は、他の作品とかけ離れたところに位置付けられていたように思えます。〈SONG X:20th アニバーサリー〉エディションは、その当時の作品の改良版のように思えますし、私たちの努力の成果を、更に完成させた形で表していると思います」。

1. Police People
2. All Of Us
3. The Good Life
4. Word from Bird
5. Compute
6. The Veil
7. Song X
8. Mob Job
9. Endangered Species
10. Video Games
11. Kathelin Gray
12. Trigonometry
13. Song X Duo
14. Long Time No See

Ornette Coleman - alto saxophone, violin
Pat Metheny - guitar, guitar synthesizer
Charlie Haden - acoustic bass
Jack DeJohnette - drums
Denardo Coleman - drums, percussion

Recorded on December 12, 13 & 14, 1985 in NYC.

Pat Metheny / First Circle

だめだ。酒のつまみにならない音楽。インプロビゼーションもインタープレイも感じない。決まった進行の中で、それぞれの楽器屋が自己表現しているだけ。ECMというレーベルの弱点を現してしまったアルバム。緊張感と爽快感は紙一重だが、時代を超えて評価されるのは緊張感。それがジャズ。

ECMは時代を先取りしてきたレーベル。だけど、いつしか時代を読めなくなった。このアルバムは、その変曲点にあったのだろうか。フュージョンと呼べるほどのリズムの疾走感はない。全体的にドラマチックな印象は受けるので、まるで映画音楽のようだ。まさしく、これはサークル活動だな。

1. Forward March
2. Yolanda, You Learn
3. The First Circle
4. If I Could
5. Tell It All
6. End Of The Game
7. Mas Alla (Beyond)
8. Praise

Pat Metheny - guitar, Synclavier guitar, sitar, slide guitar, acoustic guitar, acoustic 12-string guitar
Lyle Mays - piano, synthesizers, Oberheim, agogô bells, organ, trumpet
Steve Rodby - bass guitar, acoustic bass, bass drum
Pedro Aznar - glockenspiel, voice, bells, acoustic guitar, percussion, whistle, guitar acoustic 12-string guitar
Paul Wertico - drums, field drum, cymbal

Recorded on February 15 - 19, 1984 at Power Station, NYC.