Michel Petrucciani / Michel Petrucciani

肉体的ハンディーを背負ったミシェル・ペトルチアーニを「ピアノの化身」と、日本のジャズ・ジャーナリズムはレッテルを貼った。その言葉が彼の耳の届いたかどうかは知らない。よくよく考えてみると、差別的な意味合いがないとは言えない。ジャズピアノの演奏スタイルに新たな革新をもたらした功績があったとは言えないが、1980年代の初めに新風を巻き起こしたことは事実だ。残念ながら、当時はリアルタイムで彼の新譜レコードを買う余裕はなかったし、ジャズ喫茶へ通う時間も無かった。

本アルバムを録音した時、ペトルチアーニは弱冠18歳。ハンディを背負った彼だけに、「天才」と軽く言えるはずがない。相当な努力をして、ピアノという楽器を自分のものにしたはずだ。そして、1999年1月に36歳の生涯を閉じた。ジャズピアニストとしての彼の初リーダーアルバム。ここから終着駅まで駆け抜けた。20年足らずのジャズマンの生き様を、このアルバムから感じ取ることができるのだ。

1. Hommage A Enelram Atsenig
2. Days Of Wine And Roses
3. Christmas Dreams
4. Juste Un Moment
5. Gattito
6. Cherokee

Michel Petrucciani - piano
Jean-Francois Jenny-Clark - bass
Aldo Romano - drums

Recorded on April 3 & 4, 1981.

Michel Camilo / Live at the Blue Note

ドミニカ共和国出身ミシェル・カミロによるピアノトリオのライブアルバム。ベースのCharles Flores、ドラムのHoracio Hernandezはキューバ人。ニューヨークのブルーノートでの4日間の演奏からピックアップして構成。ただし、詳細な録音データ明らかにされていない。プロデュースはカミロ自身で、演奏そのものは完璧で緻密だし、会場の熱気も伝わってくるのだが、全体的に一つの流れが感じられない。それは、必ずしも収録曲が演奏順ではないからだろう。

録音日の記載はないが、ジャケット裏には2枚組CDでトータル2時間17分22秒とある。最後までしっかり聴いて欲しいという意味だろうか。残念なのは、期待していたブルー・ボッサの演奏があっさりと終わってしまうこと。2004年のGrammy Award for Best Latin Jazz Albumを受賞。ちなみに、2002年はチャーリー・ヘイデンのアルバムNocturneが受賞している。

Disc 1
1. Cocowalk
2. Two Of A Kind
3. Hello & Goodbye
4. The Magic In You
5. Tequila Rio
6. Dichotomy
7. Twilight Glow
8. Happy Birthday - Blue Bossa
9. This Way Out

Disc 2
1. On The Other Hand
2. Mongo's Blues
3. Thinking Of You
4. At Night (To Frank)
5. Why Not!
6. Silent Talk
7. See You Later
8. And Sammy Walked In
9. On Fire

Michel Camilo - piano
Charles Flores - bass
Horacio Hernandez - drums

Recorded on March 19 - 22, 2003 at the Blue Note club in New York City.

Michael Brecker / Pilgrimage

マイケル・ブレッカーは、2007年1月13日に白血病のため旅立った。享年57。このアルバムは彼の最終作品。リリースは同年5月。邦題は『聖地への旅』。ブレッカーの遺作であろうが、参加メンバーが超一流であろうが、何度聴いても自分の好みに合わない。吸い込まれていく感じがしない。

全曲ブレッカーの作品であるが、スコアを作り込み過ぎたのではないだろうか。ほとんどの曲で、メンバーが譜面を追いかけているようにしか聴こえないのだ。

1. The Mean Time
2. Five Months From Midnight
3. Anagram
4. Tumbleweed
5. When Can I Kiss You Again?
6. Cardinal Rule
7. Half Moon Lane
8. Loose Threads
9. Pilgrimage

Michael Brecker - tenor saxophone, EWI
Pat Metheny - guitars, guitar synth
Herbie Hancock - piano (tracks 1,5,8,9)
Brad Mehldau - piano (tracks 2-4,6,7)
John Patitucci - double bass
Jack DeJohnette - drums

Recorded in August 2006 at Right Track Recording, NYC.