Michel Petrucciani / Cold Blues

ニューヨークの凍える1月、ミシェル・ペトルチアーニのピアノとロン・マクルーアのベースによるデュオが深々とジャズを語る。決してインタープレイというような駆け引きではなく、寄り添うような音作り。あくまでも主役はピアノ。ベースの存在によって、ピアノがより輝きを増す。それに重厚感を加えた形での選曲とアレンジ。コンセプトはまさしくColdなのだ。

1980年代半ば、ジャズが新たな方向性を模索していた時代。モノクロのジャケットが、このアルバムの重さをさらに表現している。輸入盤CDのジャケットには録音データしか記載されておらず、解説などは一切ない。やはりColdである。ちなみに、所有するアルバムの中で、マクルーアが参加しているのは、チャールス・ロイドのLove-Inとウィントン・ケリーのFull Viewのみで、どちらも1967年録音。ベーシストとしては地味な存在であるが、ジャズ歴は長い。

1. Beautiful But Why?
2. Autumn Leaves
3. Something Like This
4. There Will Never Be Another You
5. I Just Say Hello!
6. Cold Blues

Michel Petrucciani - piano
Ron McClure - bass

Recorded on January 11, 1985 at Classic Sound Productions Studio, NYC.

Michel Petrucciani / Live At The Village Vanguard

37歳で生涯を終えたミッシェル・ペトルチアーニのライブ。舞台はビレッジ・バンガード、22歳。1980年代に入ってジャズは混迷を続けたが、ペトルチアーニは自分のスタイルを貫いた。それは、肉体的にハンディを背負い、決して長くない人生を悟っていたからだろう。

このアルバムは、マイルスのNardisで始まり、ロリンズのOleoと続き、モンクの'Round Midnightで締め括っている。それらの間にはペトルチアーニ自身の曲などを配置。英文のライナーノーツによると、CDは演奏順のようである。

注目するのは1曲目のNardis。マイルスは一度も録音せず、ビル・エバンスの十八番となった曲である。ジャズに詳しい観客は「おっ、エバンスといきなり勝負するのか!」と期待したはずである。結果は・・・CDに残された観客の反応が答えになっている。

1. Nardis
2. Oleo
3. Le Bricoleur De Big Sur
4. To Erlinda
5. Say It Again And Again
6. Trouble
7. Three Forgotten Magic Words
8. 'Round Midnight

Michel Petrucciani - piano
Palle Danielsson - bass
Eliot Zigmund - drums

Recorded on March 16, 1984 at The Village Vanguard, NYC.

Michel Petrucciani / 100 Hearts

ジャケット写真から容易に想像できるKOOL JAZZ FESTIVALのライブアルバム・・・ではないのだ。ならば、このフェスティバルでのライブ録音はと言うと、調べた限りでは残っていない模様。ほんとうはライブアルバムを出す予定が、録音に失敗して、もしくは演奏の状態が悪くて、急遽スタジオ録音に切り替えた、と勘繰ってしまう。英文のライナーノーツを眺めても、KOOL JAZZの事は一切触れられていない。

まぁ、そういう背景は別として、ペトルチアーニの純粋なピアノソロとして聴くと、物足りなさが残る。全体が計画的すぎて、もっと自由に展開できたのではないかと。初めから、1枚のCDに収めるという制約があった感じを受ける。録音データは年月までで日付がないことが、それを表していると思えるのだが。なので、ペトルチアーニ自身が解放されていないソロアルバムという結論。

1. Turnaround
2. Three Forgotten Magic Words
3. Silence
4. St. Thomas
5. Pot Pouri (Medley): Some Day My Prince Will Come / All The Things You Are / A Child Is Born / Very Early
6. 100 Hearts

Michel Petrucciani - piano

Recorded in June 1983 at RCA Studio A, New York City.