Miles Davis / Collectors' Items

1953年1月と56年3月の2つのセッションで構成。ロリンズはどちらにも参加。そして、53年のセッションに、チャーリー・パーカーがテナーで参加していることが重要。マイルスの自叙伝によると、パーカーはリハーサルでウォッカを飲み泥酔状態。マイルスが楽器を片付けて帰ろうとした時、パーカーが眠りから覚めて「マイルス、やるぞ!」と檄を飛ばして録音したらしい。「それからオレ達は、本当にすばらしい演奏をした」とある。

さらに、56年3月のセッションについて、マイルスは「この日はフラナガンの誕生日だったと思う。プレスティッジにまだ残っていたレコードの半面分を埋めるセッションだった」と書いている。つまり、セッションの寄せ集めで作ったアルバムではなく、アルバムを作るために組まれたセッションだったのだ。付け加えると、マイルスの記憶は正しく、フラナガンの誕生日は1930年3月16日。

1. The Serpent's Tooth [take 1]
2. The Serpent's Tooth [take 2]
3. 'Round Midnight
4. Compulsion
5. No Line
6. Vierd Blues
7. In Your Own Sweet Way

Tracks 1, 2, 3 & 4
Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Charlie Parker - tenor saxophone
Walter Bishop Jr. - piano
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on January 30, 1953 at WOR Studios, NYC.

Tracks 5, 6 & 7
Miles Davis - trumpet
Sonny Rollins - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums
Recorded on March 16, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Miles Davis / The New Miles Davis Quintet

マイルスのアルバムの中では地味な存在。ジャケットの写真が意味不明ということもあるが、アルバムタイトルがはっきりしない。LPのジャケット裏面にはThe New Miles Davis Quintetと書かれていて、これはタイトルと言うより、参加メンバーの総称に過ぎない。プレスティッジ・レーベルらしいアルバムの作り方。購入した中古輸入CDには、裏面にもタイトルがなく、背の部分にこの表記をようやく見つけることができた。

新生マイルス・クインテット。コルトレーンの参加が重要なのだが、ジャケット表にはコルトレーンの文字はない。つまり、このアルバムの時点では、コルトレーンはまだまだ評価されていなかった訳である。そして、61年3月録音のアルバムSomeday My Prince Will Comeを最後にコルトレーンはマイルスのもとから完全に去って行く。

1. Just Squeeze Me
2. There Is No Greater Love
3. How Am I To Know?
4. S'posin
5. The Theme
6. Stablemates

Miles Davis - trumpet
John Coltrane - tenor saxophone
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on November 16, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Miles Davis / All Star Sextet - Quintet

このアルバムが録音されたのは、1955年8月。そして、10月からはオリジナル・クインテットとなるメンバー(Miles Davis, John Coltrane, Red Garland, Paul Chambers, Philly Joe Jones)で活動を開始した。つまり、マイルス自身がやりたかった音楽は、このアルバムにはない。ある程度の評価を受けているミュージシャンとではなく、自分が目指そうとする音楽を共に築いてくれる仲間が欲しかったのだろう。だからと言って、このアルバムでマイルスが手抜きをしている訳ではない。新たなるマイルストーンへ向けてひた走っている。

気になるのは、ジャッキー・マクリーンが2曲しか参加していないこと。答えはマイル自叙伝①にあった。『ジャッキーがハイになりすぎて、「吹けないよ」と騒いだのを憶えている。オレは頭にきて、その日以来、二度とジャッキーを使わなくなった。この日は、ジャッキーの〈ドクター・ジャックル〉と〈マイナー・マーチ〉を最初にレコーディングした。〈中略〉ジャッキーは相変わらずどっぷりヤクに浸っていた。それでも仲間には変わりがない奴を見つめて、「どうしたんだ、お前。小便でもしたいのか」と言うと、奴は怒り狂って、楽器をしまうとスタジオから出ていってしまった。だから奴は、あのレコードでは二曲しか入っていないんだ』。マイルスのディスコグラフィーを見ると、確かにこの日の録音以降、マクリーンは登場しない。

1. Dr. Jackle
2. Bitty Ditty
3. Minor March
4. Changes

Miles Davis - trumpet
Milt Jackson - vibraphone
Jackie McLean - alto saxophone (tracks 1,3)
Ray Bryant - piano
Percy Heath - bass
Arthur Taylor - drums

Recorded on August 5, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.